第35話
文字数 1,889文字
今まで生きてきて銃を使用した事は無かった。使い方もいつ覚えたのか分からない。それでも自然な動きでルーンソードに魔力を込めた。細かい所まで狙う時間は無い。とにかく命中さえさせられれば良い。
レシアはアイスをかわして気弾を発射した。ナーダに詰め寄っていたブルーは気弾に気付かずに直撃し、横に吹っ飛んだ。その間にレシアはナーダの前に立つ。
「ナーダ、大丈夫か?」
「レシア……有難う」
ブルーはゆっくりと立ち上がる。どうやら気弾は肩に命中した様で、武器を利き腕で無い方で持っている。
「レッド、やるわね。そんな攻撃見た事無いわよ」
「初披露だ。有難く思え」
「さっきの気弾はガンブレードね。いつの間に銃の部分を直したの?」
「さあな。いつの間にか直ってた。鍛冶ケッツに直して貰ったかもしれない」
「ケッツ? ああ、アサシンを辞めて鍛冶屋に転身したらしいわね」
そう言いながらブルーはダガーを構える。レシアも剣を構えた。
「まあでも、アレをやらなきゃナーダが殺られてしまていたからな」
「甘いわ。まだ終わっていないのよ」
「心配するな。もうすぐ終わる」
ブルーはダガーで斬り掛かって来る。絶妙な間合いの攻撃で、凌ぐ事は難しく無いが反撃をする事も難しい。
「流石はブルーだな。上手い事距離を作ってるじゃないか」
「利き腕がダメージ受けちゃったから、せっかくの奥義が使えないわ」
「なに、そんなのを用意してたのか? それは残念だったな」
「そうね、その分しっかり返して貰うわ」
「ああ、やってみな」
ダガーとソードの間合いの違いもある。片腕しか使えない物と両腕使える者の違いもある。それに元々の実力の違いもある。現状、その全てでレシアが優位に立っていた。
「貰った」
「!?」
ダガーを弾き飛ばしてブルーに斬り掛かる。あまり深くは切れなかったが、ダメージを与えた。ブルーは後ろへ下がり跪く。
「……くっ」
「もう最終通告は過ぎている。覚悟して貰おうか」
「どうやら、どっちのロックも失敗したみたいね。でも簡単に殺されてうやる訳にはいかないわ」
「逃げられると思っているのか?」
「逃げるだけならそんなに難しくは無いわね。こうやって!」
「なっ!?」
「えっ?」
ブルーはダガーをナーダに向かって投げつけた。ロックを意識した投げで無いのは気付いたが、運が悪ければ怪我をしてしまう。流石に放置は出来なかった。レシアは何とかダガーを気弾で撃ち落とす。
「あ、有難う……レシア」
「いや、構わないが」
ブルーは遠くに行っていた。
「今回は退いてあげるわ。レッド、ナーダ。また会いましょう」
「……ああ」
ブルーが完全に姿を消して、森は普段通りの静寂を迎える。ナーダは安心したのか膝を付く。
「レシア……怖かったよ」
「そうだな。でも無事で良かった」
「うん」
ナーダが無事だった事に不意に涙が出そうになった。理由は分からない。
「しかし……何で俺はこんな武器を持っているんだろう」
「再会した時からその武器だったよ?」
「そうなんだけどな」
「鍛冶屋さんに直して貰ったって、さっき言ってたよ」
「いや、それは嘘……と言うか冗談だ。ケッツに会っても居ないし、鍛冶屋自体も行っていない」
「え……何かホラー」
「全くだな。しかもちゃんと使いこなせているし」
そう言えば、この森でブルーと再会する時にも何かがあった様な気がする。違和感だけが残っている。
レシア「まあ良いか。ナーダ、隠れ家に戻ろう」
ナーダ「うん」
隠れ家に戻るまでに特に誰かが襲って来る事も無かった。バダグは本当にブルー1人で元レッド・アサシンを殺せると思っているのだろうか。
だとしたら、とんだ思い違いだ。レシアを過小評価しているのかブルーを過大評価しているのかは分からないが、どちらにしても人を見る目が無いって事だ。
「ふう……しかし本当に何も手掛かりが無かったな。シヴァの調査を待つしか無いか」
「手掛かりが無かった、って事が分かったじゃない」
「何か……前向きじゃないか。でも確信には至らないな」
「どういう事?」
「採掘場にあったルーン鉱石は無事だった。でもそれは、たまたま入り口を見付けられなかっただけかもしれない。他には……村長の家に大きな鉱石があったけど、今の村の状態では俺達でも探し出す事が出来なかった。瓦礫に埋まっているのか、持ち去られているかも分からない」
「つまり、犯人の目的は分からないって事?」
「そうだな」
あり得ない事を消去していけば……なんて言葉はあるが、正直分からない事ばかりでどうしようもない。今はシヴァの調査結果待ちをするしか無いな。そもそもそれで仇が判明さえすれば何も問題も無いんだし。
レシアはアイスをかわして気弾を発射した。ナーダに詰め寄っていたブルーは気弾に気付かずに直撃し、横に吹っ飛んだ。その間にレシアはナーダの前に立つ。
「ナーダ、大丈夫か?」
「レシア……有難う」
ブルーはゆっくりと立ち上がる。どうやら気弾は肩に命中した様で、武器を利き腕で無い方で持っている。
「レッド、やるわね。そんな攻撃見た事無いわよ」
「初披露だ。有難く思え」
「さっきの気弾はガンブレードね。いつの間に銃の部分を直したの?」
「さあな。いつの間にか直ってた。鍛冶ケッツに直して貰ったかもしれない」
「ケッツ? ああ、アサシンを辞めて鍛冶屋に転身したらしいわね」
そう言いながらブルーはダガーを構える。レシアも剣を構えた。
「まあでも、アレをやらなきゃナーダが殺られてしまていたからな」
「甘いわ。まだ終わっていないのよ」
「心配するな。もうすぐ終わる」
ブルーはダガーで斬り掛かって来る。絶妙な間合いの攻撃で、凌ぐ事は難しく無いが反撃をする事も難しい。
「流石はブルーだな。上手い事距離を作ってるじゃないか」
「利き腕がダメージ受けちゃったから、せっかくの奥義が使えないわ」
「なに、そんなのを用意してたのか? それは残念だったな」
「そうね、その分しっかり返して貰うわ」
「ああ、やってみな」
ダガーとソードの間合いの違いもある。片腕しか使えない物と両腕使える者の違いもある。それに元々の実力の違いもある。現状、その全てでレシアが優位に立っていた。
「貰った」
「!?」
ダガーを弾き飛ばしてブルーに斬り掛かる。あまり深くは切れなかったが、ダメージを与えた。ブルーは後ろへ下がり跪く。
「……くっ」
「もう最終通告は過ぎている。覚悟して貰おうか」
「どうやら、どっちのロックも失敗したみたいね。でも簡単に殺されてうやる訳にはいかないわ」
「逃げられると思っているのか?」
「逃げるだけならそんなに難しくは無いわね。こうやって!」
「なっ!?」
「えっ?」
ブルーはダガーをナーダに向かって投げつけた。ロックを意識した投げで無いのは気付いたが、運が悪ければ怪我をしてしまう。流石に放置は出来なかった。レシアは何とかダガーを気弾で撃ち落とす。
「あ、有難う……レシア」
「いや、構わないが」
ブルーは遠くに行っていた。
「今回は退いてあげるわ。レッド、ナーダ。また会いましょう」
「……ああ」
ブルーが完全に姿を消して、森は普段通りの静寂を迎える。ナーダは安心したのか膝を付く。
「レシア……怖かったよ」
「そうだな。でも無事で良かった」
「うん」
ナーダが無事だった事に不意に涙が出そうになった。理由は分からない。
「しかし……何で俺はこんな武器を持っているんだろう」
「再会した時からその武器だったよ?」
「そうなんだけどな」
「鍛冶屋さんに直して貰ったって、さっき言ってたよ」
「いや、それは嘘……と言うか冗談だ。ケッツに会っても居ないし、鍛冶屋自体も行っていない」
「え……何かホラー」
「全くだな。しかもちゃんと使いこなせているし」
そう言えば、この森でブルーと再会する時にも何かがあった様な気がする。違和感だけが残っている。
レシア「まあ良いか。ナーダ、隠れ家に戻ろう」
ナーダ「うん」
隠れ家に戻るまでに特に誰かが襲って来る事も無かった。バダグは本当にブルー1人で元レッド・アサシンを殺せると思っているのだろうか。
だとしたら、とんだ思い違いだ。レシアを過小評価しているのかブルーを過大評価しているのかは分からないが、どちらにしても人を見る目が無いって事だ。
「ふう……しかし本当に何も手掛かりが無かったな。シヴァの調査を待つしか無いか」
「手掛かりが無かった、って事が分かったじゃない」
「何か……前向きじゃないか。でも確信には至らないな」
「どういう事?」
「採掘場にあったルーン鉱石は無事だった。でもそれは、たまたま入り口を見付けられなかっただけかもしれない。他には……村長の家に大きな鉱石があったけど、今の村の状態では俺達でも探し出す事が出来なかった。瓦礫に埋まっているのか、持ち去られているかも分からない」
「つまり、犯人の目的は分からないって事?」
「そうだな」
あり得ない事を消去していけば……なんて言葉はあるが、正直分からない事ばかりでどうしようもない。今はシヴァの調査結果待ちをするしか無いな。そもそもそれで仇が判明さえすれば何も問題も無いんだし。