第59話
文字数 1,952文字
気付くと河川敷に居た。
そこでのロックを完了し夜にはハンター支部へ行く。
ナーダと再会する。
ナスナと交戦する。
アサシンと袂を分かつ。
最早何度も通った流れ。レシアは当然覚えていない。
そしてハンター本部に忍び込むバダグ達を発見し、見付からない様に後を付けた。先ではシヴァがアサシンに囲まれていた。そこでレシアはバダグと話をする。
「ブルーから聞いたぞ。お前、村の仇であるアサシンを探しているんだってな。お前次第では俺がその仇を見付けてやる事も出来るぞ」
「村の……仇を見付けるだと?」
「あの事件は任務外で行われた者。犯人がたまたまアサシンだっただけなんだ。任務外な故、お前の依頼として犯人を見付ける事も出来る。勿論犯人を連れて来る事も、ロックする事もだ」
「レシア、騙されるな。こいつらは……」
喋りかけたシヴァをバダグが殴りつけた。シヴァは後ろへ飛ばされる。
「お前は黙っている事だな」
「ぐっ。どうすれば……」
「あまりこの任務に時間を掛ける事は出来ない。レッド、答えを聞かせて貰おうか」
「お、俺は……」
何だろう……この違和感はどう伝えたら良いだろう?
モヤモヤした感情が身体を支配する。
その時、世界の全てがモノクロに変化した。
「えっ……!?」
レシア以外の全てが止まってしまっていた。そう、レシアともう1人のレシア……ナイトメア以外。
「久し振りだな、俺」
「お前は……ナイトメア?」
この時の止まった空間に入った瞬間から、レシアは全てを思い出していた。いや、時間の流れに影響されない場所であるならば、どこでもそうなのかもしれない。
「そうか……ここは…なかなか面白い場面に出くわしてしまった様だな」
「お前は……まあもちろん知っているんだろうな」
「記憶にはあるな。これ以上は言わんが」
「それで、何をしに来た?」
「おっと、忘れたのか? 俺は約束を果たしに来たんだ」
「約束だと?」
「お前は今、記憶を有しているはずだ。ならばペンダントを返しに来た、と言えば伝わるだろう?」
「ああ……そう言えばそうだったな。今の俺はペンダントをしていなかった。記憶が戻るまで何も思わなかったよ」
「呑気なもんだな。ほらお前のペンダントだ。助かったよ、有難うな」
「ああ、どうも。こんな感じの返し方だとは思わなかった」
「そうだな。俺もたまたまパッと来たのがこの場面だったもんでビックリしている」
「……たまたまかよ」
「これから良い時間軸を探そうと思ってたんだ。でもちょうど良い場面だったからな」
「そんなに良い場面なのか?」
「そうだな。……まあこれ以上の話は良いだろう」
「そうか」
「この俺とこのお前はもう会う事は無いだろうが、まあ頑張れ」
「自分同士で別れの挨拶もおかしなモンだけどな」
「違いないな」
「お前はずっと殺気を持っているよな」
「……そうらしいな。自分ではよく分からん」
「……何かあったのか?」
「あったな。でもそれは聞くべきじゃ無い」
「未来の自分の事だから?」
「そういう可能性はある」
「わかった」
「ああ、1つだけ。もし決戦だ、と思う場面に行けたら思い切り戦って良い」
「はい?」
「余計な邪魔は気にしなくても大丈夫だ」
「何だそりゃ? この前と言い今回と言い……」
「じゃあな」
気付くとナイトメアは消えていた。徐々に世界に色が戻る。
「……」
「レッド、どうした?」
記憶は消えていない。さっき戻ったままだ。
「そう……俺はルーンナーで、今まで何回も繰り返して来た。これから何が起こるかも分かる……知っている」
「レ、レシア?」
「今こそ新しい道を開く。今こそ開ける道がある。それがナイトメアの言っていた良い場面、ってヤツの答え」
「レッド?」
「バダグ、お前の手を借りる必要は無い」
「何だと?」
「もう全て分かっているんだ。ルーン村を襲った奴も、お前が行っている事も」
「レ、レッド?」
「今、路は開かれた。後はその路を進むだけなんだ」
「コイツ何を言っているんだ? 協力する気が無いんだったらさっさと……」
「待て、不用意に近付くな!」
お供のアサシンが剣を携えてレシアに近付いて来た。レシアは一呼吸でアサシンの身体を斬り裂く。
「……!? 早い」
「コイツに用は無い」
「レッド、村の仇も分かっているのか?」
「ああ。ニサラレスだ。お前はもっと知っているだろう? あの時一緒に居たんだから」
「見ていたのか? あの時何処かに隠れていてのか?」
「あの瞬間に村には居なかったし、あの時は知らなかった。でも俺は知る事が出来た。俺はちょっと特別なんだよ」
「……どうやら、お前には消えて貰うしか無いようだな。レッド!」
「消えるのはお前だ、バダグ。これ以上ティアマットの暇潰しにも付き合っていられないのでな」
「そこまで知っているのか。……レッド、観念して貰う」
「行くぞ、バダグ!」
そこでのロックを完了し夜にはハンター支部へ行く。
ナーダと再会する。
ナスナと交戦する。
アサシンと袂を分かつ。
最早何度も通った流れ。レシアは当然覚えていない。
そしてハンター本部に忍び込むバダグ達を発見し、見付からない様に後を付けた。先ではシヴァがアサシンに囲まれていた。そこでレシアはバダグと話をする。
「ブルーから聞いたぞ。お前、村の仇であるアサシンを探しているんだってな。お前次第では俺がその仇を見付けてやる事も出来るぞ」
「村の……仇を見付けるだと?」
「あの事件は任務外で行われた者。犯人がたまたまアサシンだっただけなんだ。任務外な故、お前の依頼として犯人を見付ける事も出来る。勿論犯人を連れて来る事も、ロックする事もだ」
「レシア、騙されるな。こいつらは……」
喋りかけたシヴァをバダグが殴りつけた。シヴァは後ろへ飛ばされる。
「お前は黙っている事だな」
「ぐっ。どうすれば……」
「あまりこの任務に時間を掛ける事は出来ない。レッド、答えを聞かせて貰おうか」
「お、俺は……」
何だろう……この違和感はどう伝えたら良いだろう?
モヤモヤした感情が身体を支配する。
その時、世界の全てがモノクロに変化した。
「えっ……!?」
レシア以外の全てが止まってしまっていた。そう、レシアともう1人のレシア……ナイトメア以外。
「久し振りだな、俺」
「お前は……ナイトメア?」
この時の止まった空間に入った瞬間から、レシアは全てを思い出していた。いや、時間の流れに影響されない場所であるならば、どこでもそうなのかもしれない。
「そうか……ここは…なかなか面白い場面に出くわしてしまった様だな」
「お前は……まあもちろん知っているんだろうな」
「記憶にはあるな。これ以上は言わんが」
「それで、何をしに来た?」
「おっと、忘れたのか? 俺は約束を果たしに来たんだ」
「約束だと?」
「お前は今、記憶を有しているはずだ。ならばペンダントを返しに来た、と言えば伝わるだろう?」
「ああ……そう言えばそうだったな。今の俺はペンダントをしていなかった。記憶が戻るまで何も思わなかったよ」
「呑気なもんだな。ほらお前のペンダントだ。助かったよ、有難うな」
「ああ、どうも。こんな感じの返し方だとは思わなかった」
「そうだな。俺もたまたまパッと来たのがこの場面だったもんでビックリしている」
「……たまたまかよ」
「これから良い時間軸を探そうと思ってたんだ。でもちょうど良い場面だったからな」
「そんなに良い場面なのか?」
「そうだな。……まあこれ以上の話は良いだろう」
「そうか」
「この俺とこのお前はもう会う事は無いだろうが、まあ頑張れ」
「自分同士で別れの挨拶もおかしなモンだけどな」
「違いないな」
「お前はずっと殺気を持っているよな」
「……そうらしいな。自分ではよく分からん」
「……何かあったのか?」
「あったな。でもそれは聞くべきじゃ無い」
「未来の自分の事だから?」
「そういう可能性はある」
「わかった」
「ああ、1つだけ。もし決戦だ、と思う場面に行けたら思い切り戦って良い」
「はい?」
「余計な邪魔は気にしなくても大丈夫だ」
「何だそりゃ? この前と言い今回と言い……」
「じゃあな」
気付くとナイトメアは消えていた。徐々に世界に色が戻る。
「……」
「レッド、どうした?」
記憶は消えていない。さっき戻ったままだ。
「そう……俺はルーンナーで、今まで何回も繰り返して来た。これから何が起こるかも分かる……知っている」
「レ、レシア?」
「今こそ新しい道を開く。今こそ開ける道がある。それがナイトメアの言っていた良い場面、ってヤツの答え」
「レッド?」
「バダグ、お前の手を借りる必要は無い」
「何だと?」
「もう全て分かっているんだ。ルーン村を襲った奴も、お前が行っている事も」
「レ、レッド?」
「今、路は開かれた。後はその路を進むだけなんだ」
「コイツ何を言っているんだ? 協力する気が無いんだったらさっさと……」
「待て、不用意に近付くな!」
お供のアサシンが剣を携えてレシアに近付いて来た。レシアは一呼吸でアサシンの身体を斬り裂く。
「……!? 早い」
「コイツに用は無い」
「レッド、村の仇も分かっているのか?」
「ああ。ニサラレスだ。お前はもっと知っているだろう? あの時一緒に居たんだから」
「見ていたのか? あの時何処かに隠れていてのか?」
「あの瞬間に村には居なかったし、あの時は知らなかった。でも俺は知る事が出来た。俺はちょっと特別なんだよ」
「……どうやら、お前には消えて貰うしか無いようだな。レッド!」
「消えるのはお前だ、バダグ。これ以上ティアマットの暇潰しにも付き合っていられないのでな」
「そこまで知っているのか。……レッド、観念して貰う」
「行くぞ、バダグ!」