第43話
文字数 1,943文字
「でも、アサシン本部に乗り込むなんて出来るの?」
「ああ、流石に正面から乗り込むほど馬鹿じゃ無い。一部の者しか知らない隠し通路があるんだ。ここを通れば仮眠室までバレずに行ける。仮眠室から本部長室までは走れば1分だ」
「一部の者って?」
「まあ……俺とブルー、そしてバダグ。後はバダグの側近たちなら知っているかもしれないが」
「ブルーさんは仕事中なんでしょ?」
「そう言ってたな。だからこそ今がチャンスか。バダグが出てきたら丁度良いしな。バダグの側近程度なら倒してやるさ」
「そっか……じゃあ頑張ろう」
「ナーダも来てくれるのか?」
「当たり前じゃない。バダグさんて強いんでしょ? 2人の方が生き残る確率高いじゃない」
「有難う。人質にだけは取られるなよ」
「その時は助けてね」
「気軽に言ってくれるな……」
ここからならアサシン本部は遠くない。ブルーが居ないというのなら今が侵入するチャンスだろう。このままバダグの所まで行ってやる。
「……階段、降りなくちゃ……だね?」
「……まあ、頑張れ」
アサシン本部の本部長室ではバダグとブルーが居た。
「済まないな、ブルー。任務の途中なのに呼び戻してしまって」
「報酬で貰えるハズだった分は払ってくれるんでしょ? だったら構わないわ」
影から3人のアサシンが姿を現す。バダグの側近達だ。
「側近も減ったわね。ハンター支部でレッドに殺られた所為かしら」
「そうだな。アレは痛かった。レッドが来るなんて思わなかったし」
「それで、要件は何なの? 任務を放棄させる位なんだから、重要な要件なんでしょうね?」
「ああ。俺の見立てではもうすぐレッドがここに来るだろう」
「クラスタが負けるって言うの?」
「アサシンとして優秀なのはクラスタかもしれない。それでもレッドの実力は舐めて掛かれる物じゃないからな」
「まあ確かに……レッドが勝つ可能性はあるけど」
「可能性があるなら対策はしておきたいからな」
「それで、私達はどうするの?」
「お前達4人には裏口の警護を頼む。もしレッドが来るなら、間違いなくあの場所を通るだろう」
「素直に正面突破して来るヤツでは無いでしょうね」
「そうだな。発見次第、殺しても構わん。レッドのロックを成功させた者には賞金を多く出そう」
側近達は「おおおっ!」っと息巻いている。
「それでは各自持ち場へ付け。ブルーはもう少し話がある。残れ」
「分かったわ」
※横話Dが解禁されました。バダグとブルーの密談を聞く事が出来ます。レシアはこの話を見た後、また時間の扉を開ける事になります。
レシアとナーダはアサシン本部の裏手に到着した。この辺りは敬語のアサシンも居らずに閑散としている。
「ここに入り口があるの?」
「ああ。どうだ?パッと見ても分からないだろ?」
「うん、変な壺しか置いてないよ」
レシアは壺と壺の間に手を入れる。魔力を注入すると、うっすらと階段が姿を現す。
「わっ、階段が出て来たよ。凄い」
「普段は魔力で偽装してるんだ。決まった場所で決まった量の魔力を注入しないと解放されない様になっているんだ」
「何でこんな隠し通路を作ったんだろ?」
「一応は緊急用だよな。バダグが隠れて出入り出来る様になってるんだ」
階段を降りて先を進む。そこまで幅の無い通路が続いている。
「この先も少し広めのフロアと、ここと同じくらの通路が続くんだ」
「通るのには問題ないけど、戦いになったらちょっと狭いかも」
「そうだな。戦闘になる事はあまり想定されていないだろうな」
2つめの通路に入った時にアサシンと遭遇してしまった。
「レッド・アサシン! 本当に来たんだな!」
「その言い方、俺が来るって分かってたみたいだな。どうやらバダグにはしっかりバレている様だ」
「3人もいるよ。どうしよう」
「取り敢えず、さっきの広めのフロアに戻ろう」
レシアとナーダは後ろへ下がる。アサシン達も追いかけて来た。
「逃がすと思っているのか……ぐわっ!」
広めのフロアに入って来た1人目のアサシンを斬り倒す。その間に残りの2人がフロアに入って来る。レシアが1人を攻撃し、ナーダはもう1人にライトを放った。レシアの攻撃したアサシンは肩口から大きく切り裂かれる。ナーダのライトはお決まりで、全くダメージが通らなかった様だ。
「な、何だこの魔法は? 目眩まし?」
「よそ見をしている暇は無いぞ」
「なっ!?」
ダメージの無い魔法攻撃でも気を逸らす位は出来た。レシアは返しの攻撃で最後の1人も斬った。
「ううう……もうちょっと食らって欲しいんだけど」
「諦めろ。ナーダに攻撃魔法の才能は無いんだって。まあ俺もだけどさ」
通路に戻って先を急ぐ。次のフロアに出ると、1人のアサシンが壁に凭れ掛かっていた。
「……何でお前が?」
「あら、レッド。本当にクラスタに勝ったのね」
「ああ、流石に正面から乗り込むほど馬鹿じゃ無い。一部の者しか知らない隠し通路があるんだ。ここを通れば仮眠室までバレずに行ける。仮眠室から本部長室までは走れば1分だ」
「一部の者って?」
「まあ……俺とブルー、そしてバダグ。後はバダグの側近たちなら知っているかもしれないが」
「ブルーさんは仕事中なんでしょ?」
「そう言ってたな。だからこそ今がチャンスか。バダグが出てきたら丁度良いしな。バダグの側近程度なら倒してやるさ」
「そっか……じゃあ頑張ろう」
「ナーダも来てくれるのか?」
「当たり前じゃない。バダグさんて強いんでしょ? 2人の方が生き残る確率高いじゃない」
「有難う。人質にだけは取られるなよ」
「その時は助けてね」
「気軽に言ってくれるな……」
ここからならアサシン本部は遠くない。ブルーが居ないというのなら今が侵入するチャンスだろう。このままバダグの所まで行ってやる。
「……階段、降りなくちゃ……だね?」
「……まあ、頑張れ」
アサシン本部の本部長室ではバダグとブルーが居た。
「済まないな、ブルー。任務の途中なのに呼び戻してしまって」
「報酬で貰えるハズだった分は払ってくれるんでしょ? だったら構わないわ」
影から3人のアサシンが姿を現す。バダグの側近達だ。
「側近も減ったわね。ハンター支部でレッドに殺られた所為かしら」
「そうだな。アレは痛かった。レッドが来るなんて思わなかったし」
「それで、要件は何なの? 任務を放棄させる位なんだから、重要な要件なんでしょうね?」
「ああ。俺の見立てではもうすぐレッドがここに来るだろう」
「クラスタが負けるって言うの?」
「アサシンとして優秀なのはクラスタかもしれない。それでもレッドの実力は舐めて掛かれる物じゃないからな」
「まあ確かに……レッドが勝つ可能性はあるけど」
「可能性があるなら対策はしておきたいからな」
「それで、私達はどうするの?」
「お前達4人には裏口の警護を頼む。もしレッドが来るなら、間違いなくあの場所を通るだろう」
「素直に正面突破して来るヤツでは無いでしょうね」
「そうだな。発見次第、殺しても構わん。レッドのロックを成功させた者には賞金を多く出そう」
側近達は「おおおっ!」っと息巻いている。
「それでは各自持ち場へ付け。ブルーはもう少し話がある。残れ」
「分かったわ」
※横話Dが解禁されました。バダグとブルーの密談を聞く事が出来ます。レシアはこの話を見た後、また時間の扉を開ける事になります。
レシアとナーダはアサシン本部の裏手に到着した。この辺りは敬語のアサシンも居らずに閑散としている。
「ここに入り口があるの?」
「ああ。どうだ?パッと見ても分からないだろ?」
「うん、変な壺しか置いてないよ」
レシアは壺と壺の間に手を入れる。魔力を注入すると、うっすらと階段が姿を現す。
「わっ、階段が出て来たよ。凄い」
「普段は魔力で偽装してるんだ。決まった場所で決まった量の魔力を注入しないと解放されない様になっているんだ」
「何でこんな隠し通路を作ったんだろ?」
「一応は緊急用だよな。バダグが隠れて出入り出来る様になってるんだ」
階段を降りて先を進む。そこまで幅の無い通路が続いている。
「この先も少し広めのフロアと、ここと同じくらの通路が続くんだ」
「通るのには問題ないけど、戦いになったらちょっと狭いかも」
「そうだな。戦闘になる事はあまり想定されていないだろうな」
2つめの通路に入った時にアサシンと遭遇してしまった。
「レッド・アサシン! 本当に来たんだな!」
「その言い方、俺が来るって分かってたみたいだな。どうやらバダグにはしっかりバレている様だ」
「3人もいるよ。どうしよう」
「取り敢えず、さっきの広めのフロアに戻ろう」
レシアとナーダは後ろへ下がる。アサシン達も追いかけて来た。
「逃がすと思っているのか……ぐわっ!」
広めのフロアに入って来た1人目のアサシンを斬り倒す。その間に残りの2人がフロアに入って来る。レシアが1人を攻撃し、ナーダはもう1人にライトを放った。レシアの攻撃したアサシンは肩口から大きく切り裂かれる。ナーダのライトはお決まりで、全くダメージが通らなかった様だ。
「な、何だこの魔法は? 目眩まし?」
「よそ見をしている暇は無いぞ」
「なっ!?」
ダメージの無い魔法攻撃でも気を逸らす位は出来た。レシアは返しの攻撃で最後の1人も斬った。
「ううう……もうちょっと食らって欲しいんだけど」
「諦めろ。ナーダに攻撃魔法の才能は無いんだって。まあ俺もだけどさ」
通路に戻って先を急ぐ。次のフロアに出ると、1人のアサシンが壁に凭れ掛かっていた。
「……何でお前が?」
「あら、レッド。本当にクラスタに勝ったのね」