第37話

文字数 1,932文字

「さて、改めて質問させて貰おう」
「……仕方無いな。分かったよ」
「まず、依頼主はバダグだな?」
「いやいや、アサシンが依頼主を明かす訳がないだろう」
「良い心掛けだ。ブルーのヤツは自分から言って来てたけどな」
「あいつ……」

「まあ良い、次だ。ダーク・アサシンって知っているか?」
「ダーク・アサシン? 初めて聞くぜ」
「そうか。じゃあもう良い。さっさと帰るんだな」
「はあ!? 俺を逃がすってのか?」

「お前がこれ以上、俺に付き纏わなければな。逆にこれ以上邪魔をするのであれば殺す」
「それは無理な相談だな」
「……フレスト村、だったか? 俺はそんな所知らないし、もちろん行った事も無いぞ」
「こんな状況で嘘を言う訳も無い……か」

「それに俺もお前と一緒さ。俺も自分の村の仇を探しているんだ」
「何だって?」
「ルーン村って言うんだが、何か知らないか?」
「ルーン村って? あれは確か……」
「!? 何か知っているのか?」

「……いや、確信は無い。今回の事も含めてバダグを問い詰めてやる!」
「え、おい!」


 チャードは走って行ってしまった。


「結局、バダグが依頼主なんじゃねえか」
「レシア……この場所もバレちゃったの?」
「ああ、どうやらそうらしい」
「どうしよう」

「そうだな……ハンター本部に行こうか。シヴァが居るハズだ」
「え、でもハンターの人達が襲って来るかもしれないんでしょ? 大丈夫かな?」
「トップのシヴァは事情を知っている訳だし。それに時間問わずにアサシンに狙われるのよりはマシだろう」
「ううう……分かった」

「明後日にアサシン一掃作戦を始めるって言ってたな。今から出て明日中にはハンター本部に着こう」
「また歩かなきゃいけないのね……」
「頑張れ」




 流石に歩いてハンター本部のある土地まで行くのは難しい。レシアとナーダは馬車を利用し移動していった。結局、あれ以降はアサシンに襲われる事も無く、無事にハンター本部まで辿り着いた。





「さて、ハンター本部に着いたな。明るい内に来たのは初めてだな」
「どうしよう。取り敢えず私が行こうか?」
「いや、大丈夫だろう。シヴァを呼んで貰えば済む話だ」


 2人で門番に話し掛ける。


「何者だ?」
「おい……こいつ何処かで見た事がある様な」


 門番であるハンターの2人組は怪訝な顔をしてこっちを見る。


「すみません、私はナーダと言う者です」
「ああ、確かシヴァ様の依頼人の?」
「はい。シヴァさんは居ますか?」
「シヴァ様なら奥に居るけど……」


 ハンターはレシアに視線を向ける。取り敢えず挨拶でもして場を和ませるしかないか。


「俺はレシアだ。ナーダの依頼していた探し人だ。まあ先週までアサシン本部に世話になってたんだけどな」
「こいつ!レッド・アサシンじゃないか!」
「え、何で言っちゃうの?」


 場を和ませる事は出来なかった様だ。口は災いの素ってこの事だな。


「おい、落ち着け。もうアサシンじゃない。ナーダと再会してアサシンを辞めたんだ。んで、シヴァに紹介して貰った隠れ家に居たんだがアサシンに見つかってさ」
「…」
「と、取り敢えずシヴァさんに確認して貰えれば分かりますから」
「そうだ。さっさと確認しろ」
「…」
「レシア、1回口を塞いでて」

「その必要は無い」
「え?」


 後ろの方に魔力の塊が現れ、それが消えた後にシヴァが立っていた。テレポートか。


「シヴァ、どこから湧いて出た?」
「俺は虫かよ。……とにかく、こいつ等は大丈夫だ。俺の説明不足で済まないな」
「い、いえ」
「どうしてこんな所に来たんだ……とにかく上がれ」




 最奥のシヴァの部屋でお茶を飲む。客用か? なかなか良い茶葉を使用している。


「事情は分かった。しかしどうしたものか……明日からアサシン一掃作戦なんだが」
「ブルーだけに気を取られて、他の追跡者を見逃してしまっていた。流石にあそこには戻れないぞ」
「うむむ……他にすぐ身を隠せそうな場所は思い付かないな」
「うむむ……」

「あ、そう言えば隠れ家で襲って来たアサシンもダーク・アサシンは知らなかったみたいだぜ」
「そうなのか……もしかしたらアイツかもしれないな」
「え、何? 思い当たるヤツでも居るのか?」
「単に可能性の話だ」
「可能性でも何でも良い。教えてくれ」


「分かった。もしかしたらだが……ダーク・アサシンってのは元アサシン本部長のブラックの……」
「シヴァ様、大変です!」
「ハンター副部長、今は客人が」
「それ所じゃありません。アサシンが攻めて来ました」
「何だって!? 作戦の裏をかかれたのか?」

「あ、もしかしたらチャード……隠れ家で襲って来たアサシンが聞いていたのかも」
「なるほど、あり得るな。相手はバダグか?」
「いえ、クラスタです!」
「クラスタ……元アサシンのか? どうして?」


 シヴァは立ち上がった。





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登場人物紹介

【レッド】

腕利きのアサシン。

とある目的の為にアサシンとなった彼は、その手を血に染めていく。

序盤はダガーを使用し、闇属性の魔法も使用可能。

【ブルー】

レッドの相棒であるアサシン。

金が好きで基本的に冷めた性格である。

どういった経緯でアサシンになったかは不明。

ダガーを使用し、風属性と水属性の魔法も使用可能。

【バダグ】

アサシン本部の部長。

普段はラフな喋り方だが、実力はアサシンでも最強クラス。

セスタスを装着し、格闘術を得意とする。

【ナーダ】

レッドの幼馴染。

とある場所で再会する。

杖を装備しており、光属性と回復の魔法が使用可能。

【シヴァ】

ハンター本部の部長。

エルフであり、魔力が高い。

長剣を使用し、無属性の魔法を使用可能。

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