第51話
文字数 1,882文字
リュートを斬り伏せる。もうこいつには何度戦ったとしても負ける気がしない。
「さて……」
「いつもみたいに冥福を祈らないの?」
「今はそれより大切な事がありそうだからな」
「そう」
「ブルー、お前は何で記憶があるんだ?」
「記憶? これからの話の事? 分からないわ」
「そうか……俺もよく分からない。今までこんな事は無かったのに」
「今わかるのは、ここでアンタを殺しておけばバダグが無駄死にしないって事ね」
「何だと?」
ブルーはダガーを構える。
「それはおかしいだろ」
「確かにどっちにしろバダグは死ぬんでしょうね。でもここでアンタを殺しておけば、バダグの負担は減る。もしかしたら、今からだったらバダグを救う事も出来るかもしれないし」
「バダグを救うだと?」
「バダグは既にティアマットによって囚われているわ。でも居場所を離れた所に移して封印を私が対応すれば……」
「いやいや、それなら別に俺を殺す意味も無い」
「アンタはバダグを狙っているでしょう?」
「狙ってはいるが……」
「なら答えは1つね」
どうやらレシアとブルーの記憶には多少の食い違いがある。ブルーはただ時間の流れの中だけの記憶を持っているだけらしい。レシアはそれ以外にも横話の間での記憶……情報があるのだ。
「……ブルー、お前ではティアマットは抑えきれない。俺には分かるんだ」
「どういう事かしら?」
「何と説明すればいいか分からないが……」
「出来ないんでしょ。だったら何もないのと同じよ」
ブルーはダガーで斬り付けて来た。かわしながら近距離でシャドウを放つ。ブルーはシャドウを直撃されて吹っ飛んだ。
「落ち着くんだ」
「く…まあ私ではアンタに勝てないのは分かってたけど……」
「俺はちゃんとした真実はまだ分かっていない。でも、お前が……お前やバダグが真の村の仇では無い事は理解している」
「……」
何でこんな事になってしまったのか……とにかく、今はバダグに会わなければ。
「バダグに合わせてくれ。話がしたい」
「……分かったわ」
そのままアサシン本部に向かった。実際に誰が記憶を持っているか分からない。もしかしたらこの2人だけかもしれないし、沢山の人かもしれないのだ。
「……で、レッドをここまで連れて来たと」
「そうね。後はアンタに任せるわ」
バダグはどっちだ? 記憶があるのか?
「バダグ。お前は……」
「レッド、俺も先の事は分かっている」
「じゃあ……」
どうやら記憶のある人間は1人2人では無い様だ……
「いきなり変な未来の記憶が現れて、正直混乱していた。だが、こんな上手い事になるとはな」
「え……?」
バダグがいきなり攻撃を仕掛けてきた。ギリギリでガード出来たが、そのまま飛ばされる。
「まだ俺はあの時ほど衰えてはいない。レッド、お前では倒せんぞ」
「く……バダグ、お前!」
「はあ、やっぱりこうなるのね。まあ分かってたけど」
バダグの言う【あの時】とは、今回の前に通った時間の流れの事だろう。これから先の1週間ちょっとでバダグは目に見えて衰えて行くのだ。
「なんでそんなに戦おうとするんだ?」
「お前も記憶がある様だから教えておいてやる。俺はダーク・アサシンの事を調べようとする者を抹殺する使命を負っているんだ」
「……ダーク・アサシンはお前じゃないのか?」
「…………その通りだ。そして俺の事を探るお前は殺すしかない」
バダグはセスタスを装着した。
「ブルー、お前は手を出さなくても良い」
「分かったわ」
「……俺は今のバダグに勝てるのか?」
バダグは再び襲い掛かって来た。今のバダグはまだ衰えていない。普通によく知っていたバダグのままだ。レシアは1撃目をかわし2撃目をガードする。そこでバランスを崩されてしまい、連撃をまともに食らってしまう。
「う、ぐ……」
連撃だった為か、致命的なダメージは無い。その代わり何度もセスタスで殴られて血塗れになってしまった。バダグにしては軽い攻撃だったのだろうが、受ける側にしては強烈な攻撃だ。
「レッド・アサシンもこの程度か?」
「まだだ……パワーホールド!」
筋力を上げる魔法を唱えるも、そもそもさっきの連撃で頭がフラフラする。バダグはその隙を見逃さずにレシアに蹴りを叩き込んだ。頭部を直撃した蹴りはレシアを床に崩れさせる。
「……」
「レッド。お前は優秀な部下だったが、色々と知り過ぎてしまった。俺より一足先に逝って貰おう」
「レッド、さよならね」
こいつ等はレシアが時間を遡れる事実を知らない。前回の時間の流れがバダグ達の全ての様だった。元仲間達の声を聞きながらレシアは深い闇に落ちて行った。
そしてレシアの首に掛かった宝石が光出す。
「さて……」
「いつもみたいに冥福を祈らないの?」
「今はそれより大切な事がありそうだからな」
「そう」
「ブルー、お前は何で記憶があるんだ?」
「記憶? これからの話の事? 分からないわ」
「そうか……俺もよく分からない。今までこんな事は無かったのに」
「今わかるのは、ここでアンタを殺しておけばバダグが無駄死にしないって事ね」
「何だと?」
ブルーはダガーを構える。
「それはおかしいだろ」
「確かにどっちにしろバダグは死ぬんでしょうね。でもここでアンタを殺しておけば、バダグの負担は減る。もしかしたら、今からだったらバダグを救う事も出来るかもしれないし」
「バダグを救うだと?」
「バダグは既にティアマットによって囚われているわ。でも居場所を離れた所に移して封印を私が対応すれば……」
「いやいや、それなら別に俺を殺す意味も無い」
「アンタはバダグを狙っているでしょう?」
「狙ってはいるが……」
「なら答えは1つね」
どうやらレシアとブルーの記憶には多少の食い違いがある。ブルーはただ時間の流れの中だけの記憶を持っているだけらしい。レシアはそれ以外にも横話の間での記憶……情報があるのだ。
「……ブルー、お前ではティアマットは抑えきれない。俺には分かるんだ」
「どういう事かしら?」
「何と説明すればいいか分からないが……」
「出来ないんでしょ。だったら何もないのと同じよ」
ブルーはダガーで斬り付けて来た。かわしながら近距離でシャドウを放つ。ブルーはシャドウを直撃されて吹っ飛んだ。
「落ち着くんだ」
「く…まあ私ではアンタに勝てないのは分かってたけど……」
「俺はちゃんとした真実はまだ分かっていない。でも、お前が……お前やバダグが真の村の仇では無い事は理解している」
「……」
何でこんな事になってしまったのか……とにかく、今はバダグに会わなければ。
「バダグに合わせてくれ。話がしたい」
「……分かったわ」
そのままアサシン本部に向かった。実際に誰が記憶を持っているか分からない。もしかしたらこの2人だけかもしれないし、沢山の人かもしれないのだ。
「……で、レッドをここまで連れて来たと」
「そうね。後はアンタに任せるわ」
バダグはどっちだ? 記憶があるのか?
「バダグ。お前は……」
「レッド、俺も先の事は分かっている」
「じゃあ……」
どうやら記憶のある人間は1人2人では無い様だ……
「いきなり変な未来の記憶が現れて、正直混乱していた。だが、こんな上手い事になるとはな」
「え……?」
バダグがいきなり攻撃を仕掛けてきた。ギリギリでガード出来たが、そのまま飛ばされる。
「まだ俺はあの時ほど衰えてはいない。レッド、お前では倒せんぞ」
「く……バダグ、お前!」
「はあ、やっぱりこうなるのね。まあ分かってたけど」
バダグの言う【あの時】とは、今回の前に通った時間の流れの事だろう。これから先の1週間ちょっとでバダグは目に見えて衰えて行くのだ。
「なんでそんなに戦おうとするんだ?」
「お前も記憶がある様だから教えておいてやる。俺はダーク・アサシンの事を調べようとする者を抹殺する使命を負っているんだ」
「……ダーク・アサシンはお前じゃないのか?」
「…………その通りだ。そして俺の事を探るお前は殺すしかない」
バダグはセスタスを装着した。
「ブルー、お前は手を出さなくても良い」
「分かったわ」
「……俺は今のバダグに勝てるのか?」
バダグは再び襲い掛かって来た。今のバダグはまだ衰えていない。普通によく知っていたバダグのままだ。レシアは1撃目をかわし2撃目をガードする。そこでバランスを崩されてしまい、連撃をまともに食らってしまう。
「う、ぐ……」
連撃だった為か、致命的なダメージは無い。その代わり何度もセスタスで殴られて血塗れになってしまった。バダグにしては軽い攻撃だったのだろうが、受ける側にしては強烈な攻撃だ。
「レッド・アサシンもこの程度か?」
「まだだ……パワーホールド!」
筋力を上げる魔法を唱えるも、そもそもさっきの連撃で頭がフラフラする。バダグはその隙を見逃さずにレシアに蹴りを叩き込んだ。頭部を直撃した蹴りはレシアを床に崩れさせる。
「……」
「レッド。お前は優秀な部下だったが、色々と知り過ぎてしまった。俺より一足先に逝って貰おう」
「レッド、さよならね」
こいつ等はレシアが時間を遡れる事実を知らない。前回の時間の流れがバダグ達の全ての様だった。元仲間達の声を聞きながらレシアは深い闇に落ちて行った。
そしてレシアの首に掛かった宝石が光出す。