第52話
文字数 2,143文字
気付くと時間の路ではなく、河川敷に戻っていた。
「ん? ここは?」
「……」
「そうか、リュートのロックに掛かる所だったんだな」
ブルーが怪訝な表情を浮かべている。意味も分からずにそんな顔をされても困る。
「ブルー、どうした?」
「……レッド、アンタ覚えていないの?」
「何がだ?」
コイツはまた意味の分からない事を言う。またいつものイヤミなのだろうか?
刹那、後方に殺気を感じて姿を確認しないまま斬り伏せる。どうやらハンターの様だった。2人居て1人はさっきのレシアの1撃、もう1人はブルーが斬っていた。
「今、遠くに人影が見えた。複数居るな。あれがリュートに違いない」
「……そうね。」
そうして難なくリュートのロックを終えた。さて、いつもの儀式…黙祷だ。レシアは剣を仕舞い、目を伏せて祈り始める。
「…………!?」
「……」
一瞬、何が起こったのか分からなかった。祈りを捧げている隙にブルーがレシアを後ろからダガーで貫いたのだ。見事に心臓を貫いている。ダガーを抜いた後、出血は凄まじかったが意識が遠のいていくのも早かった。
また気付くと河川敷……その時により、記憶はあったり無かったりした。何度も同じ様な流れを繰り返していた。何れの場合でも、他の者が有している記憶は、最後に時間の路に行った時の直前の記憶だった。
「ここは河川敷か。また……」
「……」
(何回も同じ事の繰り返し……何処かで流れを変えないといけない。いや、変えるなら今か?)
「ブルー」
「どうしたの?」
「……すまん」
レシアはいきなりブルーを斬り殺した。ブルーはいきなりの事で反応も出来ずに倒れる。
「う……アンタも記憶が?」
「そうだ。それに必要以上に色々と試す必要が出来てしまった」
「……」
「お前を殺す必要は無かったのかもしれないが」
自分が何をしているのかも分からなくなってきてしまっていた。レシアはリュートのロックをせずにアサシン本部へ向かう。この流れになってずっとブルーやバダグは記憶があった。レシアはあったりなかったりだったが、今回もバダグも記憶があると考えて行動しよう。
アサシン本部でバダグの居る本部長室へ入った。バダグはまだ状況を理解できていないハズ。今なら……
「おお、レッドか」
「今戻った」
「リュートのロックが終わったんだな。……ブルーは?」
「何か用事があるんだとよ。その内に金を受け取りに来るんじゃないか?」
バダグにレシアが記憶を持っている事を悟られない様に注意し、何も知らない演技をした。
「先に俺の分の報酬を貰おうか」
「分かった、ちょっと待ってくれ」
バダグが金庫に向かった瞬間に、レシアは殺気を消しながら斬り掛かった。剣がバダグの身体を斬り裂く。
「ぐおっ!? レッド、お前……」
「油断したなバダグ」
「そうか、このおかしな状態、お前もなんだな?」
「そうだな」
バダグは振り返り攻撃を仕掛けるが、身体が上手く動かない様だ。レシアは躊躇せずにとどめの1撃を加えた。バダグはそのまま倒れる。
「流石のバダグも完全に隙を突けばこんなもんか。いや、こんなの勝利でも何でも無い」
ダーク・アサシンを倒したはずなのに嬉しさはあまり無かった。そう言えば……ティアマットの封印とやらはどうなってしまうんだろうか? ブルーもバダグも死んだ今、ティアマットを抑える事が出来なくなってしまっているのではないだろうか?
「あれ?ティアマットの封印って何だ? あれは確かニサラレスとか言うヤツに関する封印だったはず……」
何の勘違いなのか? どこかの流れでそんな情報を得たけどそこだけ思い出せていないのか? だとするなら……この情報は正しいのか? 勘違いなのか?
正解ならばニサラレスとティアマットの両方に関係している?
「…分からない。とにかく封印をこのままにしておく訳にはいかないか。でも俺の魔力では何も出来ないし。」
考えた末にシヴァに会いに行く事にした。ハンターのトップであるあいつなら何とかしてくれるかもしれない。今日の夜にシヴァがハンター本部に居る事は分かっていた。
「着いたな、ハンター本部だ。シヴァは変わらずに居るだろうか。それにナーダも居るはずだ」
警戒しながらも入り口に近付いて様子を伺った。門番であるハンターが2人居る。今回は殺しをしに来た訳じゃ無い。シヴァに用があるだけだから、普通に行ってみるか? もし戦闘になってしまったら、それはそれで仕方が無い。
「……ん? 誰だ」
「ちょっとすまないな。俺はレシアって言うんだが……」
「ああ、お前がレシアか。シヴァ様から今夜来るかもしれないって話は聞いている。ちょっと待っていてくれ」
「そうなのか……分かった」
思った以上にすんなりと話が進んでいく。この感じだとシヴァも記憶があるのかもしれない。そうなると恐らくナーダも……
「レシア!」
「おお、ナーダじゃないか」
「良く来たな。……1人か?」
「そうだ。色々と話もある」
「分かった。中に入ってくれ」
本部長室で話をする。思っていた通り、ナーダもシヴァも記憶があった。ただし、シヴァは自分が死ぬまでの記憶までしか持っていない。考えた事は無かったが、皆そうなのかもしれない。たまたまレシア・ナーダ・ブルー・バダグは最終決戦まで居たから気付かなかったが……
「ん? ここは?」
「……」
「そうか、リュートのロックに掛かる所だったんだな」
ブルーが怪訝な表情を浮かべている。意味も分からずにそんな顔をされても困る。
「ブルー、どうした?」
「……レッド、アンタ覚えていないの?」
「何がだ?」
コイツはまた意味の分からない事を言う。またいつものイヤミなのだろうか?
刹那、後方に殺気を感じて姿を確認しないまま斬り伏せる。どうやらハンターの様だった。2人居て1人はさっきのレシアの1撃、もう1人はブルーが斬っていた。
「今、遠くに人影が見えた。複数居るな。あれがリュートに違いない」
「……そうね。」
そうして難なくリュートのロックを終えた。さて、いつもの儀式…黙祷だ。レシアは剣を仕舞い、目を伏せて祈り始める。
「…………!?」
「……」
一瞬、何が起こったのか分からなかった。祈りを捧げている隙にブルーがレシアを後ろからダガーで貫いたのだ。見事に心臓を貫いている。ダガーを抜いた後、出血は凄まじかったが意識が遠のいていくのも早かった。
また気付くと河川敷……その時により、記憶はあったり無かったりした。何度も同じ様な流れを繰り返していた。何れの場合でも、他の者が有している記憶は、最後に時間の路に行った時の直前の記憶だった。
「ここは河川敷か。また……」
「……」
(何回も同じ事の繰り返し……何処かで流れを変えないといけない。いや、変えるなら今か?)
「ブルー」
「どうしたの?」
「……すまん」
レシアはいきなりブルーを斬り殺した。ブルーはいきなりの事で反応も出来ずに倒れる。
「う……アンタも記憶が?」
「そうだ。それに必要以上に色々と試す必要が出来てしまった」
「……」
「お前を殺す必要は無かったのかもしれないが」
自分が何をしているのかも分からなくなってきてしまっていた。レシアはリュートのロックをせずにアサシン本部へ向かう。この流れになってずっとブルーやバダグは記憶があった。レシアはあったりなかったりだったが、今回もバダグも記憶があると考えて行動しよう。
アサシン本部でバダグの居る本部長室へ入った。バダグはまだ状況を理解できていないハズ。今なら……
「おお、レッドか」
「今戻った」
「リュートのロックが終わったんだな。……ブルーは?」
「何か用事があるんだとよ。その内に金を受け取りに来るんじゃないか?」
バダグにレシアが記憶を持っている事を悟られない様に注意し、何も知らない演技をした。
「先に俺の分の報酬を貰おうか」
「分かった、ちょっと待ってくれ」
バダグが金庫に向かった瞬間に、レシアは殺気を消しながら斬り掛かった。剣がバダグの身体を斬り裂く。
「ぐおっ!? レッド、お前……」
「油断したなバダグ」
「そうか、このおかしな状態、お前もなんだな?」
「そうだな」
バダグは振り返り攻撃を仕掛けるが、身体が上手く動かない様だ。レシアは躊躇せずにとどめの1撃を加えた。バダグはそのまま倒れる。
「流石のバダグも完全に隙を突けばこんなもんか。いや、こんなの勝利でも何でも無い」
ダーク・アサシンを倒したはずなのに嬉しさはあまり無かった。そう言えば……ティアマットの封印とやらはどうなってしまうんだろうか? ブルーもバダグも死んだ今、ティアマットを抑える事が出来なくなってしまっているのではないだろうか?
「あれ?ティアマットの封印って何だ? あれは確かニサラレスとか言うヤツに関する封印だったはず……」
何の勘違いなのか? どこかの流れでそんな情報を得たけどそこだけ思い出せていないのか? だとするなら……この情報は正しいのか? 勘違いなのか?
正解ならばニサラレスとティアマットの両方に関係している?
「…分からない。とにかく封印をこのままにしておく訳にはいかないか。でも俺の魔力では何も出来ないし。」
考えた末にシヴァに会いに行く事にした。ハンターのトップであるあいつなら何とかしてくれるかもしれない。今日の夜にシヴァがハンター本部に居る事は分かっていた。
「着いたな、ハンター本部だ。シヴァは変わらずに居るだろうか。それにナーダも居るはずだ」
警戒しながらも入り口に近付いて様子を伺った。門番であるハンターが2人居る。今回は殺しをしに来た訳じゃ無い。シヴァに用があるだけだから、普通に行ってみるか? もし戦闘になってしまったら、それはそれで仕方が無い。
「……ん? 誰だ」
「ちょっとすまないな。俺はレシアって言うんだが……」
「ああ、お前がレシアか。シヴァ様から今夜来るかもしれないって話は聞いている。ちょっと待っていてくれ」
「そうなのか……分かった」
思った以上にすんなりと話が進んでいく。この感じだとシヴァも記憶があるのかもしれない。そうなると恐らくナーダも……
「レシア!」
「おお、ナーダじゃないか」
「良く来たな。……1人か?」
「そうだ。色々と話もある」
「分かった。中に入ってくれ」
本部長室で話をする。思っていた通り、ナーダもシヴァも記憶があった。ただし、シヴァは自分が死ぬまでの記憶までしか持っていない。考えた事は無かったが、皆そうなのかもしれない。たまたまレシア・ナーダ・ブルー・バダグは最終決戦まで居たから気付かなかったが……