第54話
文字数 1,828文字
異空間は割と単純な造りになっていた。無駄に広すぎる訳でも無く、複雑な迷路の様な物でも無い。
「しかし……本当にニサラレスが居るんだろうか」
「顔も知らないし、会っても気付かないかも」
「そうだが、そもそもここで出会う者は全て疑って掛かった方が良いだろう」
途中で大きなフロアがあった。無人のフロアを抜けて先に逝くと、奥にはほどほどの大きさのフロアがありそこに1人の人間が居た。……多分人間だ。椅子に座っている。
「こんな場所に人間が来るなんて珍しいな」
「もしかしてお前がニサラレスなのか?」
「俺を知っているのか?」
「……やっぱりそうなんだな」
「バダグの差し金か?」
「バダグは死んだぜ」
「そうか。それならどうして?」
「お前を殺しに来た」
「……ふふふ。俺を殺す、か。面白いヤツだな。バダグを殺したという事はハンターか何かか?」
「ハンターは俺だけだ。それにバダグを殺したのはハンターでは無い」
「バダグを殺したのは俺だが、今はアサシンだな」
「アサシンがバダグを? やるじゃないか。それとももう力が無くなってたのかな」
レシアが剣を構える。
「どうでも良い事だろう。お前は今から死ぬんだ」
「人間如きが……」
シヴァも剣を構える。ナーダは……杖を構えるが、まあ良いだろう。
「覚悟しろ」
レシアはニサラレスに向かって走り出した。が、途中で何かにぶつかった。
「うわっ!?」
「レシア、大丈夫か」
「な、なにかバリアみたいな物があるよ?」
よく見ると薄く色付いた壁みたいな物が空間に張り巡らされていた。確かにバリアと言われればそうだ。
「気付かなかったな……こんなのがあったのか」
「このバリアは人間如きが破れる物では無い」
「そんなもの、やってみなければ分からん」
シヴァは剣で斬り掛かった。バリアに直撃するが、弾かれてしまう。
「くっ、硬いな」
「これならどうだ!パワーホールド!」
レシアは筋力増加し、ルーンソードの銃部分に魔力を込める。一気に斬り掛かり、バリアに接触する瞬間にトリガーを引いた。一瞬剣が超振動し、バリアを斬り裂く。
「……!」
「やった」
「どうだ、破ってやったぞ!」
「へえ……あのバリアを破るなんて思わなかった。凄いな」
ニサラレスは椅子から立ち上がって剣を構えた。レシアはニサラレスに斬り掛かり、ニサラレスは剣で受け止める。
「うおおおっ!」
「パワーも強いな。だが!」
ニサラレスは力を込めてレシアの攻撃を跳ね返した。レシアは後ろへ飛ばされる。
「あの攻撃を跳ね返すのか。凄い力だ」
「……ああ。思いっきりいったんだけどな」
「久しぶりの運動だ。俺を楽しませてみろ」
全員が武器を構え戦闘態勢に入る。次の瞬間、声が響いた。
「ニサラレス。待て」
「この声……ティアマットか」
「ティアマットだって!?」
「何だって!?」
「そのバリアを破った男、面白い。俺に会わせてみないか?」
「ふん。こいつの何に興味を抱いたか知らんが、あんなのただの偶然だろう」
「偶然であれは破れん。良いな?」
「勝手にしろ」
ニサラレスは剣をしまい椅子に座ってしまった。
「どういうつもりだ?」
「俺とお前が戦う機会は失われた様だな。これ以上俺と戦いたければティアマットを倒す事だ。……それこそ人間には不可能だがな」
「レシア、これは!」
「え……」
急に周りに光が現れて、レシア達を包み込んだ。これもテレポートの光に似ている。光は一層輝き、ニサラレスを除いた3人を転移させた。
気付くと何処かの1室だった。岩で出来た部屋で、洞窟と言われれば信じてしまいそうな場所。そこに1匹の竜が居る。恐らく3メートル程はある身長。禍々しい気を纏っており、聞かなくてもこいつがティアマットであると確信できた。
「こいつ……」
「お前、面白いな。どうやってあのバリアを破壊した?」
「どうやってって……攻撃して壊しただけだ」
「ただの物理で簡単に破壊できる様な代物ではない」
「こいつが邪竜ティアマットなのか」
「こ、怖い……」
「他の者はどうでも良い。消えろ」
ティアマットはシヴァに向かって黒い炎を吐き出した。シヴァは剣でガードするが、炎はシヴァごと飲み込んでしまった。
「シヴァ!」
炎が通り過ぎた後は、何も残らなかった。
「そんな、消えちゃったの?」
「炎の威力が桁外れなんだ。全てを消し去ってしまったのか」
「人間如きに私の炎が耐えられる訳も無い。さて、質問に答えて貰おう。どうやってあのバリアを破壊した?」
「何なんだコイツは……何でそんなに気にするんだ?」
「しかし……本当にニサラレスが居るんだろうか」
「顔も知らないし、会っても気付かないかも」
「そうだが、そもそもここで出会う者は全て疑って掛かった方が良いだろう」
途中で大きなフロアがあった。無人のフロアを抜けて先に逝くと、奥にはほどほどの大きさのフロアがありそこに1人の人間が居た。……多分人間だ。椅子に座っている。
「こんな場所に人間が来るなんて珍しいな」
「もしかしてお前がニサラレスなのか?」
「俺を知っているのか?」
「……やっぱりそうなんだな」
「バダグの差し金か?」
「バダグは死んだぜ」
「そうか。それならどうして?」
「お前を殺しに来た」
「……ふふふ。俺を殺す、か。面白いヤツだな。バダグを殺したという事はハンターか何かか?」
「ハンターは俺だけだ。それにバダグを殺したのはハンターでは無い」
「バダグを殺したのは俺だが、今はアサシンだな」
「アサシンがバダグを? やるじゃないか。それとももう力が無くなってたのかな」
レシアが剣を構える。
「どうでも良い事だろう。お前は今から死ぬんだ」
「人間如きが……」
シヴァも剣を構える。ナーダは……杖を構えるが、まあ良いだろう。
「覚悟しろ」
レシアはニサラレスに向かって走り出した。が、途中で何かにぶつかった。
「うわっ!?」
「レシア、大丈夫か」
「な、なにかバリアみたいな物があるよ?」
よく見ると薄く色付いた壁みたいな物が空間に張り巡らされていた。確かにバリアと言われればそうだ。
「気付かなかったな……こんなのがあったのか」
「このバリアは人間如きが破れる物では無い」
「そんなもの、やってみなければ分からん」
シヴァは剣で斬り掛かった。バリアに直撃するが、弾かれてしまう。
「くっ、硬いな」
「これならどうだ!パワーホールド!」
レシアは筋力増加し、ルーンソードの銃部分に魔力を込める。一気に斬り掛かり、バリアに接触する瞬間にトリガーを引いた。一瞬剣が超振動し、バリアを斬り裂く。
「……!」
「やった」
「どうだ、破ってやったぞ!」
「へえ……あのバリアを破るなんて思わなかった。凄いな」
ニサラレスは椅子から立ち上がって剣を構えた。レシアはニサラレスに斬り掛かり、ニサラレスは剣で受け止める。
「うおおおっ!」
「パワーも強いな。だが!」
ニサラレスは力を込めてレシアの攻撃を跳ね返した。レシアは後ろへ飛ばされる。
「あの攻撃を跳ね返すのか。凄い力だ」
「……ああ。思いっきりいったんだけどな」
「久しぶりの運動だ。俺を楽しませてみろ」
全員が武器を構え戦闘態勢に入る。次の瞬間、声が響いた。
「ニサラレス。待て」
「この声……ティアマットか」
「ティアマットだって!?」
「何だって!?」
「そのバリアを破った男、面白い。俺に会わせてみないか?」
「ふん。こいつの何に興味を抱いたか知らんが、あんなのただの偶然だろう」
「偶然であれは破れん。良いな?」
「勝手にしろ」
ニサラレスは剣をしまい椅子に座ってしまった。
「どういうつもりだ?」
「俺とお前が戦う機会は失われた様だな。これ以上俺と戦いたければティアマットを倒す事だ。……それこそ人間には不可能だがな」
「レシア、これは!」
「え……」
急に周りに光が現れて、レシア達を包み込んだ。これもテレポートの光に似ている。光は一層輝き、ニサラレスを除いた3人を転移させた。
気付くと何処かの1室だった。岩で出来た部屋で、洞窟と言われれば信じてしまいそうな場所。そこに1匹の竜が居る。恐らく3メートル程はある身長。禍々しい気を纏っており、聞かなくてもこいつがティアマットであると確信できた。
「こいつ……」
「お前、面白いな。どうやってあのバリアを破壊した?」
「どうやってって……攻撃して壊しただけだ」
「ただの物理で簡単に破壊できる様な代物ではない」
「こいつが邪竜ティアマットなのか」
「こ、怖い……」
「他の者はどうでも良い。消えろ」
ティアマットはシヴァに向かって黒い炎を吐き出した。シヴァは剣でガードするが、炎はシヴァごと飲み込んでしまった。
「シヴァ!」
炎が通り過ぎた後は、何も残らなかった。
「そんな、消えちゃったの?」
「炎の威力が桁外れなんだ。全てを消し去ってしまったのか」
「人間如きに私の炎が耐えられる訳も無い。さて、質問に答えて貰おう。どうやってあのバリアを破壊した?」
「何なんだコイツは……何でそんなに気にするんだ?」