第55話
文字数 2,075文字
「何かよく分からないけど、俺は特に特別な事はしていない。まあ、魔法で筋力を上げたりはしたけど……」
「……まあ良い。答える気が無いのであればもう消えて貰おう」
「あ、危ない! レシア!」
ティアマットはレシアに向けて炎を吐き出した。すぐに反応できなかった。
「……えっ!?」
ナーダがレシアに体当たりして横に飛ばした。茫然としたままのレシアの目の前でナーダは炎に包まれて消えてしまう。
「ナーダ……?」
「ほう、仲間を庇って死んでいくとは。これが人間の美しい愛情とかいうものなのか」
「お前……ふざけんなよ!」
「心配するな。お前もすぐに消滅する」
「どうやってバリアを破ったのか実演してやる! パワーホールド!」
「もう興味は失せた。消えろ、人間」
レシアはルーンソードの銃部分に魔力を込める。その間にティアマットが炎を吐き出した。
「くっ! こんなもの!」
何とか横に飛び退いてかわそうとする。炎はレシアの左腕を巻き込んで進んでいった。
「ぐわああっ! ぐ……腕が消滅してしまった……」
「良くかわしたな。しかしそのダメージでは同じ様にかわす事は出来ないだろう。もう終わりだ」
「くっ……ただでやられると思うな!」
アドレナリンの所為か痛みはあまり感じなかった。ティアマットに向かって突撃し、右手1本で斬り付けた。
「どうだ!?」
「ふっ、そんな攻撃で私を殺せるとでも思っているのか?」
「そ、そんな……効いていないのか!?」
どうやらティアマットにはノーダメージの様だ。ティアマットは大きく咆哮し、その振動でレシアを吹っ飛ばした。そのまま更に炎を吐き出す。レシアは動けないまま炎に包まれた。その瞬間にレシアの首にある紅い宝石が光り出す。
後には何も残っていなかった。
「消えたな。人間など所詮はこんなもの。どれだけ吠えようがな」
ティアマットは後ろを振り向いた。その時に微かな痛みを覚える。レシアに斬られた腹部より一筋の血が流れていた。
「……! まさかさっきの1撃が効いたとでも? ふふふ……面白いな。理由は分からんが、やはりあのバリアを破ったのは偶然でも何でもない。もう少し生かしておいても良かったかもしれないな」
その事実を知る事も無く、レシアはまたいつもの河川敷に居た。
「レッド、どうしたの? ボーっとして」
「え……ブルーか。いや……」
また戻ってしまった。しかしブルーからおかしな気配や殺気は感じない。すぐ後にハンターが襲ってきた時も普段の様子と変わらなかった。
(今回はブルーに記憶が無いのか?)
レシアは取り敢えず様子を見る事にする。バダグもナーダもシヴァも、皆記憶が無い様子だった。
「俺だけが記憶の残っている状態なのか? じゃあ今回はどうすれば? ……今までの流れで出来ていない事は何だ。分からない……と言うか、時間の路に戻る事は出来るのか?」
上手く考えが纏まらないまま時間の流れを過ごして行く。ついにはハンター本部でクラスタを迎え撃つ所に来てしまっていた。
(そう言えば、シヴァは此処で死んでしまうんだよな……もしこれを助ける事が出来るのであれば……)
シヴァと別れてレシアとナーダ、ついでにハンター副部長は本部の中から入り口に向かって進む事になった。途中でチャードに出会う。
「会いたかったぜ、レッド・アサシン」
「チャード。どうやら俺の容疑は晴れていない様だな」
「さて……この戦いはビジネスだ。私情は関係ない」
「そうかよ」
一息で回りに居た2人のアサシンを斬り討伏せる。
「!? 強いとは思っていたけど……本当に凄いな」
「レベルが違う、とだけ言っておこう」
「はん、だけどこのまま簡単にはやられないぜ!」
チャードは銃を構えるが、その銃が壊れているのは知っている。気にせずに突っ込んだ。チャードは銃を投げつけて来てからソードで斬り付けて来た。レシアは銃をかわしてチャードの攻撃が届く前に剣でチャードの腕を斬った。
「うぐ……利き腕をピンポイントでやりやがったな」
「ここまでだ。俺がお前の村の仇で無い事は分かっているんだろ?」
「……ああ。俺もあれからちょっと調べてみた。レッド・アサシン、お前は犯人じゃない」
「だったら大人しくしていろ。今はクラスタを何とかしないといけないからな」
「……分かったよ。実際に、今回の任務は別段乗り気でも無かったし。その代わり……」
「ああ、お前の村の仇は俺が取ってやる。お前はその傷を治す事に専念するんだ」
「そうだな」
もしかしたら何か変化があるかもしれないと思い、チャードも殺さない様にした。そのままハンター本部の入り口に辿り着いた。そこにはシヴァが倒れていた。取り敢えず駆け寄る。
「シヴァ、生きているか?」
「うう……レ、レシアか」
よし、まだ生きている。問題はこれからだ。もうすぐクラスタがシヴァに止めを刺してくる。姿が見えない以上、気配でそれを見切らないといけない。
「……」
次の刹那、シヴァの奥の方から殺気を感じた。剣を振るうと何かを弾く感触があった。成功だ。
「よし。ナーダ、シヴァに回復魔法を頼む」
「う、うん」
ルーンソードを構えた。
「……まあ良い。答える気が無いのであればもう消えて貰おう」
「あ、危ない! レシア!」
ティアマットはレシアに向けて炎を吐き出した。すぐに反応できなかった。
「……えっ!?」
ナーダがレシアに体当たりして横に飛ばした。茫然としたままのレシアの目の前でナーダは炎に包まれて消えてしまう。
「ナーダ……?」
「ほう、仲間を庇って死んでいくとは。これが人間の美しい愛情とかいうものなのか」
「お前……ふざけんなよ!」
「心配するな。お前もすぐに消滅する」
「どうやってバリアを破ったのか実演してやる! パワーホールド!」
「もう興味は失せた。消えろ、人間」
レシアはルーンソードの銃部分に魔力を込める。その間にティアマットが炎を吐き出した。
「くっ! こんなもの!」
何とか横に飛び退いてかわそうとする。炎はレシアの左腕を巻き込んで進んでいった。
「ぐわああっ! ぐ……腕が消滅してしまった……」
「良くかわしたな。しかしそのダメージでは同じ様にかわす事は出来ないだろう。もう終わりだ」
「くっ……ただでやられると思うな!」
アドレナリンの所為か痛みはあまり感じなかった。ティアマットに向かって突撃し、右手1本で斬り付けた。
「どうだ!?」
「ふっ、そんな攻撃で私を殺せるとでも思っているのか?」
「そ、そんな……効いていないのか!?」
どうやらティアマットにはノーダメージの様だ。ティアマットは大きく咆哮し、その振動でレシアを吹っ飛ばした。そのまま更に炎を吐き出す。レシアは動けないまま炎に包まれた。その瞬間にレシアの首にある紅い宝石が光り出す。
後には何も残っていなかった。
「消えたな。人間など所詮はこんなもの。どれだけ吠えようがな」
ティアマットは後ろを振り向いた。その時に微かな痛みを覚える。レシアに斬られた腹部より一筋の血が流れていた。
「……! まさかさっきの1撃が効いたとでも? ふふふ……面白いな。理由は分からんが、やはりあのバリアを破ったのは偶然でも何でもない。もう少し生かしておいても良かったかもしれないな」
その事実を知る事も無く、レシアはまたいつもの河川敷に居た。
「レッド、どうしたの? ボーっとして」
「え……ブルーか。いや……」
また戻ってしまった。しかしブルーからおかしな気配や殺気は感じない。すぐ後にハンターが襲ってきた時も普段の様子と変わらなかった。
(今回はブルーに記憶が無いのか?)
レシアは取り敢えず様子を見る事にする。バダグもナーダもシヴァも、皆記憶が無い様子だった。
「俺だけが記憶の残っている状態なのか? じゃあ今回はどうすれば? ……今までの流れで出来ていない事は何だ。分からない……と言うか、時間の路に戻る事は出来るのか?」
上手く考えが纏まらないまま時間の流れを過ごして行く。ついにはハンター本部でクラスタを迎え撃つ所に来てしまっていた。
(そう言えば、シヴァは此処で死んでしまうんだよな……もしこれを助ける事が出来るのであれば……)
シヴァと別れてレシアとナーダ、ついでにハンター副部長は本部の中から入り口に向かって進む事になった。途中でチャードに出会う。
「会いたかったぜ、レッド・アサシン」
「チャード。どうやら俺の容疑は晴れていない様だな」
「さて……この戦いはビジネスだ。私情は関係ない」
「そうかよ」
一息で回りに居た2人のアサシンを斬り討伏せる。
「!? 強いとは思っていたけど……本当に凄いな」
「レベルが違う、とだけ言っておこう」
「はん、だけどこのまま簡単にはやられないぜ!」
チャードは銃を構えるが、その銃が壊れているのは知っている。気にせずに突っ込んだ。チャードは銃を投げつけて来てからソードで斬り付けて来た。レシアは銃をかわしてチャードの攻撃が届く前に剣でチャードの腕を斬った。
「うぐ……利き腕をピンポイントでやりやがったな」
「ここまでだ。俺がお前の村の仇で無い事は分かっているんだろ?」
「……ああ。俺もあれからちょっと調べてみた。レッド・アサシン、お前は犯人じゃない」
「だったら大人しくしていろ。今はクラスタを何とかしないといけないからな」
「……分かったよ。実際に、今回の任務は別段乗り気でも無かったし。その代わり……」
「ああ、お前の村の仇は俺が取ってやる。お前はその傷を治す事に専念するんだ」
「そうだな」
もしかしたら何か変化があるかもしれないと思い、チャードも殺さない様にした。そのままハンター本部の入り口に辿り着いた。そこにはシヴァが倒れていた。取り敢えず駆け寄る。
「シヴァ、生きているか?」
「うう……レ、レシアか」
よし、まだ生きている。問題はこれからだ。もうすぐクラスタがシヴァに止めを刺してくる。姿が見えない以上、気配でそれを見切らないといけない。
「……」
次の刹那、シヴァの奥の方から殺気を感じた。剣を振るうと何かを弾く感触があった。成功だ。
「よし。ナーダ、シヴァに回復魔法を頼む」
「う、うん」
ルーンソードを構えた。