第45話
文字数 1,829文字
「何かね、バダグが……アサシンがこの世界を治めたら、ティアマットの力でバダグは世界の王にして貰えるらしいわ」
「は? 意味が分からん」
「でしょうね。私も分からないもの」
「それに……そんな邪竜の言う事を信じるっていうのか?」
「バダグが信じているのよ。だったらアサシンである私も同様の事」
「馬鹿な……誰が考えてもおかしいと思うんだが」
「それが嫌ならバダグを止めるのね。私を殺してからになるけどね」
(何なんだ……こいつ等は?)
邪竜ティアマット……何かが心に引っ掛かっている。俺の勘だが、バダグすら騙されている。それが本当なら、こんな所で悠長に話をしている暇なんか無いのかもしれない。
(どうするか……?)
「どうやらのんびりしている暇はなさそうだ。ここを通して貰う」
「良いわ、ただし私を殺してからね。ここで私を見逃したら、絶対に後ろから殺してあげるわ」
「レシア……」
「そうだな、そうだった。ブルー、最後に言いたい事はあるか?」
「無いわ」
「そうか」
ブルーはダガーを拾い、立ち上がろうとした。だが、その前に動きが止まった。レシアの剣が身体を通り抜けて行った為だ。
(……今の1撃、殆ど見えなかった。バダグ、レッドは未だに成長し続けているわ。まあちょうど良いのかもね。アンタも悲しい運命から解放される時が来たのかも……ね)
「……行こう。バダグを止めるんだ。ダーク・アサシンの事も聞き出さないといけないしな」
「…うん」
仮眠室へ出て、そこからバダグが居るであろうアサシン本部長室へ向かう。途中で何人かのアサシンとすれ違うが、誰も何も言ってはこなかった。
「一般のアサシンは俺の事を何も知らないのか?」
「分からないけど、それはそれで良いじゃない」
「まあ、そうだが……」
バダグはレシアが来ている事を分かっている。気にせずに本部長室のドアを開けた。中には誰も居ない。でも何となく気配を感じた。
「誰も居ないよ?」
「いや、多分この奥に居る。……勘だが」
使用していない大き目の暖炉。その奥から嫌な魔力の流れを感じた。暖炉の中は使用感は無く、綺麗なものだ。2人は奥に進むと、大きなフロアに出た。
「居たな、バダグ」
「レッドか。ここに来たという事は、ブルーを?」
「そうだ。お前が仕掛けたんだろうが」
「そうだな」
「バダグ、お前に聞きたい事がある」
「だいたいの察しはついているよ」
「そうかよ」
「これから俺の世界が築かれていくのだ」
「邪竜ティアマット……ブルーの言っていた事は本当だったって事か?」
「そうか、ブルーから聞いているか。それなら説明は不要だな」
「正直、魔物がどうこうなんて興味も無いんだけどな。でも流石に相手が悪過ぎやしないか?」
「お前には関係ない事だ」
「邪竜ティアマットだぞ。邪竜なんだぞ。どう考えても、良い様に使われて最終的に捨てられるだけだぞ」
「ふん、そう簡単にくたばる様な俺じゃ無いさ」
「ったく、世話が焼けるヤツだな。それと、お前は知っているな? ダーク・アサシンの事を」
「ルーン村の仇か……だいぶ調べている様だな」
「調べても殆どの事は分かっていないがな」
「良い機会だ。ダーク・アサシンの正体を教えてやろう」
「ほ、本当か!?」
「今更出し惜しみする事も無いだろう」
バダグは立ち上がる。奥の方で見た事のあるルーン鉱石が置いてあった。あれは……村長の家に飾ってあったヤツじゃ?
「ダーク・アサシンとは俺の事だ。俺がお前の村を滅ぼした張本人だよ」
「何だって!? お前がダーク・アサシンだったのか?」
「流石に自分が襲った村を間違えたりはしないさ」
「……そうか。アサシンを辞めて本当に正解だったよ」
「変わらんさ。寿命が少しだけ伸びただけだろう?」
「お前の命がな!」
「……本当に貴方が村の仇なの?」
「そうだ。……そんな風には見えないか?」
「……いえ」
「せっかくだ。最高純度のルーン鉱石の力を見せてやろう」
「最高純度だと?」
「そうだ。村長の家に隠してあった幻の秘宝だ。この力によって俺はティアマットに取り付く事が出来たのだ」
「いや、そのルーン鉱石は……」
「一瞬で魔物を召喚できる。……こんな風にな!」
バダグが手を挙げると奥にあるルーン鉱石が光り出し、魔物が召喚された。
「何だって!? 本当にルーン鉱石にこんな使い方があったなんて」
「ルーン鉱石が光ったもんね。本当にルーン鉱石の力を活用してるっぽいよ」
「ああ。俺には思いも付かなかった使用方法だな」
魔物はいきり立ってレシアに襲い掛かって来た。
「は? 意味が分からん」
「でしょうね。私も分からないもの」
「それに……そんな邪竜の言う事を信じるっていうのか?」
「バダグが信じているのよ。だったらアサシンである私も同様の事」
「馬鹿な……誰が考えてもおかしいと思うんだが」
「それが嫌ならバダグを止めるのね。私を殺してからになるけどね」
(何なんだ……こいつ等は?)
邪竜ティアマット……何かが心に引っ掛かっている。俺の勘だが、バダグすら騙されている。それが本当なら、こんな所で悠長に話をしている暇なんか無いのかもしれない。
(どうするか……?)
「どうやらのんびりしている暇はなさそうだ。ここを通して貰う」
「良いわ、ただし私を殺してからね。ここで私を見逃したら、絶対に後ろから殺してあげるわ」
「レシア……」
「そうだな、そうだった。ブルー、最後に言いたい事はあるか?」
「無いわ」
「そうか」
ブルーはダガーを拾い、立ち上がろうとした。だが、その前に動きが止まった。レシアの剣が身体を通り抜けて行った為だ。
(……今の1撃、殆ど見えなかった。バダグ、レッドは未だに成長し続けているわ。まあちょうど良いのかもね。アンタも悲しい運命から解放される時が来たのかも……ね)
「……行こう。バダグを止めるんだ。ダーク・アサシンの事も聞き出さないといけないしな」
「…うん」
仮眠室へ出て、そこからバダグが居るであろうアサシン本部長室へ向かう。途中で何人かのアサシンとすれ違うが、誰も何も言ってはこなかった。
「一般のアサシンは俺の事を何も知らないのか?」
「分からないけど、それはそれで良いじゃない」
「まあ、そうだが……」
バダグはレシアが来ている事を分かっている。気にせずに本部長室のドアを開けた。中には誰も居ない。でも何となく気配を感じた。
「誰も居ないよ?」
「いや、多分この奥に居る。……勘だが」
使用していない大き目の暖炉。その奥から嫌な魔力の流れを感じた。暖炉の中は使用感は無く、綺麗なものだ。2人は奥に進むと、大きなフロアに出た。
「居たな、バダグ」
「レッドか。ここに来たという事は、ブルーを?」
「そうだ。お前が仕掛けたんだろうが」
「そうだな」
「バダグ、お前に聞きたい事がある」
「だいたいの察しはついているよ」
「そうかよ」
「これから俺の世界が築かれていくのだ」
「邪竜ティアマット……ブルーの言っていた事は本当だったって事か?」
「そうか、ブルーから聞いているか。それなら説明は不要だな」
「正直、魔物がどうこうなんて興味も無いんだけどな。でも流石に相手が悪過ぎやしないか?」
「お前には関係ない事だ」
「邪竜ティアマットだぞ。邪竜なんだぞ。どう考えても、良い様に使われて最終的に捨てられるだけだぞ」
「ふん、そう簡単にくたばる様な俺じゃ無いさ」
「ったく、世話が焼けるヤツだな。それと、お前は知っているな? ダーク・アサシンの事を」
「ルーン村の仇か……だいぶ調べている様だな」
「調べても殆どの事は分かっていないがな」
「良い機会だ。ダーク・アサシンの正体を教えてやろう」
「ほ、本当か!?」
「今更出し惜しみする事も無いだろう」
バダグは立ち上がる。奥の方で見た事のあるルーン鉱石が置いてあった。あれは……村長の家に飾ってあったヤツじゃ?
「ダーク・アサシンとは俺の事だ。俺がお前の村を滅ぼした張本人だよ」
「何だって!? お前がダーク・アサシンだったのか?」
「流石に自分が襲った村を間違えたりはしないさ」
「……そうか。アサシンを辞めて本当に正解だったよ」
「変わらんさ。寿命が少しだけ伸びただけだろう?」
「お前の命がな!」
「……本当に貴方が村の仇なの?」
「そうだ。……そんな風には見えないか?」
「……いえ」
「せっかくだ。最高純度のルーン鉱石の力を見せてやろう」
「最高純度だと?」
「そうだ。村長の家に隠してあった幻の秘宝だ。この力によって俺はティアマットに取り付く事が出来たのだ」
「いや、そのルーン鉱石は……」
「一瞬で魔物を召喚できる。……こんな風にな!」
バダグが手を挙げると奥にあるルーン鉱石が光り出し、魔物が召喚された。
「何だって!? 本当にルーン鉱石にこんな使い方があったなんて」
「ルーン鉱石が光ったもんね。本当にルーン鉱石の力を活用してるっぽいよ」
「ああ。俺には思いも付かなかった使用方法だな」
魔物はいきり立ってレシアに襲い掛かって来た。