第8話
文字数 1,908文字
「3年前のあの日……村が襲われた日。俺はたまたま狩りに出ていて村には居なかった。村へ戻った時にはもう火の海だったよ」
「私はお父さんに教会の地下に連れて行かれて、そこで避難していたの」
「そうだったのか。……それで、村へ戻った時に親父がまだ生きていてさ。……親父が最後に言い残したんだ。アサシンが襲って来たって」
「でもそれなら、どうしてアサシンに?」
「村を襲ったアサシンを見つけ出して村の仇を取る。その為にアサシンになったんだ。アサシンの情報を捕まえるにはアサシンになるのが1番早いと踏んだんだ」
「何でそんな危ない事を」
「さっきも言っただろ。村の仇を取る為だ」
「それでアサシンに? 馬鹿じゃないの!」
「馬鹿で悪かったな!」
「はいはい、喧嘩しないの」
「ブルー、この事はなるべく内密に頼む。仇の耳にでも入ってしまうと、色々とやり難くなる」
「……分かったわ。レッドが最終的にどういう道を選ぼうとしても、この事は黙っていた方が良いわね」
「すまん、頼む」
「バダグにだけは言うかもよ」
「……それは仕方ないな」
ブルーは背伸びをする。
「もう夜中なんだし……」
「ってか、もうすぐ夜明けだぜ」
「今日はここに泊まっていくわ」
「仕事も入ってない。好きにしろ」
「ナーダさんも泊っていくでしょ?」
「え、私は……」
「レッド、良いんでしょ?」
「……ハンター支部よりは安全だ」
「もう、素直じゃないわね。はいはい、おやすみ」
段々と空が白くなってきた。レッドの家はまだまだ暗い。
「…………はぁ」
「……眠れないの?」
「あ、ごめんなさい。起こしちゃいましたか?」
「大丈夫よ」
ナーダはベッド。ブルーはソファーで休んでいた。
「あまり気にしない方が良いわ。レッドだって本当は嬉しいハズよ。3年振りに、しかも全滅した村の生き残りの幼馴染と再会したんだから」
「どうなんでしょう。私は凄く嬉しいんですけどね。……村に居た時は、結構仲も良かったんですよ」
「そう言えば、アイツって何歳なの?」
「今年で23歳ですよ」
「え!? 私と変わらないじゃない。ガキっぽい所もあるし、もうちょっと下だと思ってたわ」
「ふふっ、子供っぽいのは昔からですよ」
「ああ、まあ……そんな感じもするわね」
「あの……ブルーさんは、レシアとは……どういった……」
「え? ああ、レッドと私はアサシンとしての大切なパートナーよ。冥福を祈り出す変な所もあるけど、腕は立つし何より信頼が出来るわ」
「そ、そうですか……」
「なに? 本当に聞きたいのはそんな事じゃ無い?」
「い、いえ。そんな事は…」
「あくまで私達は仕事上のパートナー。心配しなくても、情の絡む様な関係では無いわ」
「そ、そんな事心配なんかしてません」
暫しの沈黙。
「レシアはアサシンを続けるんでしょうか」
「続けるでしょうね。少なくとも村の仇ってのを討つまではね」
「……私は諦めません。レシアにアサシンを辞めさせます」
「アイツは結構頑固よ?」
「それは分かってますが……」
「アイツの腕ならそうそう敗れはしないわ。さっきのハンター長みたいな化け物が出てきたら分からないけど」
「ちゃんと何回も話をすれば、レシアもきっと分かってくれると思っています」
「そう……そうなると良いわね」
「はい、頑張ります」
(俺は……纏わり付かれるの確定かよ……)
気が付くともう真昼間だった。ナーダはまだベッドで寝息を立てている。ブルーの姿はなく、寝ていたはずのソファーの上には毛布がきちんと折りたたまれて置いてあった。
「……ふわぁ~っと。床の寝心地が最高過ぎて、身体が痛いぜ」
机の上には書置きが置いてあった。ブルーが置いて行ったのだろう。
「なになに……先に帰る。賞金は好きな時に受け取りに行け。私は先に貰っておく。……か」
ブルーの事だ。とっくに受け取りに行っているだろう。レッドは出かける旨を書き置いて机の上に置く。家での焼肉が中止になったから食べ物もある。……切れたネギもあるし。
「さて、アサシン本部に行くか」
「おっ、レッドじゃないか」
「昨夜のロックの賞金を受け取りに来た。ブルーは?」
「ブルーなら少し前に来て、賞金を貰っていったよ。はい、レッドの分」
「おう」
「……ハンター長に誘われたんだって?」
「やっぱり聞いていたか。ってかその言い方は止めろ」
「アサシン、続けるのか?」
「まあな。でも今後、俺はハンター長の対象になるかもしれない」
「……そうかもね。ブルーとのコンビも解消した方が良い?」
「その方が良いかもしれないな。正直、俺からは言い辛い。バダグから言っておいてくれ」
「本当はレッドから言った方が良いと思うけど……分かったよ。ブルーには俺から言っておこう」
「ああ、助かるよ」
「私はお父さんに教会の地下に連れて行かれて、そこで避難していたの」
「そうだったのか。……それで、村へ戻った時に親父がまだ生きていてさ。……親父が最後に言い残したんだ。アサシンが襲って来たって」
「でもそれなら、どうしてアサシンに?」
「村を襲ったアサシンを見つけ出して村の仇を取る。その為にアサシンになったんだ。アサシンの情報を捕まえるにはアサシンになるのが1番早いと踏んだんだ」
「何でそんな危ない事を」
「さっきも言っただろ。村の仇を取る為だ」
「それでアサシンに? 馬鹿じゃないの!」
「馬鹿で悪かったな!」
「はいはい、喧嘩しないの」
「ブルー、この事はなるべく内密に頼む。仇の耳にでも入ってしまうと、色々とやり難くなる」
「……分かったわ。レッドが最終的にどういう道を選ぼうとしても、この事は黙っていた方が良いわね」
「すまん、頼む」
「バダグにだけは言うかもよ」
「……それは仕方ないな」
ブルーは背伸びをする。
「もう夜中なんだし……」
「ってか、もうすぐ夜明けだぜ」
「今日はここに泊まっていくわ」
「仕事も入ってない。好きにしろ」
「ナーダさんも泊っていくでしょ?」
「え、私は……」
「レッド、良いんでしょ?」
「……ハンター支部よりは安全だ」
「もう、素直じゃないわね。はいはい、おやすみ」
段々と空が白くなってきた。レッドの家はまだまだ暗い。
「…………はぁ」
「……眠れないの?」
「あ、ごめんなさい。起こしちゃいましたか?」
「大丈夫よ」
ナーダはベッド。ブルーはソファーで休んでいた。
「あまり気にしない方が良いわ。レッドだって本当は嬉しいハズよ。3年振りに、しかも全滅した村の生き残りの幼馴染と再会したんだから」
「どうなんでしょう。私は凄く嬉しいんですけどね。……村に居た時は、結構仲も良かったんですよ」
「そう言えば、アイツって何歳なの?」
「今年で23歳ですよ」
「え!? 私と変わらないじゃない。ガキっぽい所もあるし、もうちょっと下だと思ってたわ」
「ふふっ、子供っぽいのは昔からですよ」
「ああ、まあ……そんな感じもするわね」
「あの……ブルーさんは、レシアとは……どういった……」
「え? ああ、レッドと私はアサシンとしての大切なパートナーよ。冥福を祈り出す変な所もあるけど、腕は立つし何より信頼が出来るわ」
「そ、そうですか……」
「なに? 本当に聞きたいのはそんな事じゃ無い?」
「い、いえ。そんな事は…」
「あくまで私達は仕事上のパートナー。心配しなくても、情の絡む様な関係では無いわ」
「そ、そんな事心配なんかしてません」
暫しの沈黙。
「レシアはアサシンを続けるんでしょうか」
「続けるでしょうね。少なくとも村の仇ってのを討つまではね」
「……私は諦めません。レシアにアサシンを辞めさせます」
「アイツは結構頑固よ?」
「それは分かってますが……」
「アイツの腕ならそうそう敗れはしないわ。さっきのハンター長みたいな化け物が出てきたら分からないけど」
「ちゃんと何回も話をすれば、レシアもきっと分かってくれると思っています」
「そう……そうなると良いわね」
「はい、頑張ります」
(俺は……纏わり付かれるの確定かよ……)
気が付くともう真昼間だった。ナーダはまだベッドで寝息を立てている。ブルーの姿はなく、寝ていたはずのソファーの上には毛布がきちんと折りたたまれて置いてあった。
「……ふわぁ~っと。床の寝心地が最高過ぎて、身体が痛いぜ」
机の上には書置きが置いてあった。ブルーが置いて行ったのだろう。
「なになに……先に帰る。賞金は好きな時に受け取りに行け。私は先に貰っておく。……か」
ブルーの事だ。とっくに受け取りに行っているだろう。レッドは出かける旨を書き置いて机の上に置く。家での焼肉が中止になったから食べ物もある。……切れたネギもあるし。
「さて、アサシン本部に行くか」
「おっ、レッドじゃないか」
「昨夜のロックの賞金を受け取りに来た。ブルーは?」
「ブルーなら少し前に来て、賞金を貰っていったよ。はい、レッドの分」
「おう」
「……ハンター長に誘われたんだって?」
「やっぱり聞いていたか。ってかその言い方は止めろ」
「アサシン、続けるのか?」
「まあな。でも今後、俺はハンター長の対象になるかもしれない」
「……そうかもね。ブルーとのコンビも解消した方が良い?」
「その方が良いかもしれないな。正直、俺からは言い辛い。バダグから言っておいてくれ」
「本当はレッドから言った方が良いと思うけど……分かったよ。ブルーには俺から言っておこう」
「ああ、助かるよ」