第44話
文字数 1,946文字
ブルーは腰に差してあったダガーを抜いてこちらへゆっくり歩いてきた。
「何か依頼があったんじゃ無かったのか?」
「バダグがね、レッドが来るからって言ってこっちを優先させたの。全く、依頼の途中で戻されたんだから」
「そりゃ、大変だったな」
レシアがアサシンを辞めていなければ、ごく普通の会話だっただろう。でも今は殺し合う敵同士になっているのだ。
「アンタならこの秘密通路を通って来るって思っていたわ」
「そうだろうな。俺もブルーの立場だったらそう思うよ」
「これ以上、アンタに邪魔をされる訳にはいかないの」
「邪魔だって? お前達が殺したがっていたシヴァは死んだ。これ以上何の邪魔をするっていうんだ?」
「ダーク・アサシンを調べているんでしょ? それはちょっと戴けないわね」
「何だって?」
「バダグはダーク・アサシンを調べる者を抹殺しなければならないの」
「それは……バダグが何者かから依頼を受けているって事なのか?」
「これ以上、話す事は出来ないわ」
「ダーク・アサシンはブラックの縁者か何かなんじゃないか? 今までの情報やブラックの様子を鑑みるに……家族とかなんじゃ」
「答える義務は無いわ。私はアンタを殺す為に居るのよ」
「ブルーさん。ダーク・アサシンを調べるのをやめたら襲って来ないの?」
「どうかしら。やめる気は無いんでしょ? それにアンタ達は色々と知り過ぎているみたいだし」
「そう……ですか」
「それに別口の依頼で、私はナーダのロックも受けているのよ。忘れていない?」
「……忘れていました」
「……はぁ」
「どちらにしろ、私を倒さなきゃこの先には進めないわ」
「この前も言ったかもしれんが、最終通告はとうに過ぎている。今度こそ覚悟しろ」
「流石、自信満々ね? でも私だって日々強くなっているのよ」
「それは俺も同じ事。故にお前は俺には勝てない」
ブルーはアイスを放った。レシアは氷の魔法を剣で切り払うが、次の瞬間にはブルーは目の前まで迫って来ていた。そのままブルーはダガーを振るって来る。
「おっと、危ない。思ったより早くなっているじゃないか」
「かわされるとは思わなかったわ。流石はレッドね」
「お前の攻撃は分かっている。あの程度の奇襲で勝てるとは思わない事だな」
「私の魔法……アイスにしてもウィンドカッターにしても、当たりさえすればいくらアンタでもただでは済まないわ」
至近距離でウィンドカッターを放つ。
「それは分かっている。だからこそ油断はしない! 失敗は繰り返さない!」
「失敗……?」
レシアはウィンドカッターを切り払った。そのままシャドウを撃ち出す。ブルーはシャドウをダガーで受け止め後ろへ下がらされる。
「くっ、いくらレッドの魔法でも効くわね」
「ブルー、お前の攻撃も魔法も俺には通用しない。さっさと終わらせてやろう」
言われ放題だが、事実なのでどうしようもない。だが、1つだけ見せていない攻撃があった。
「良い気になるのもここまでよ。アンタを倒す為に会得したとっておきがあるわ。氷結破砕斬!」
ブルーから一際大きいアイスが放たれた。とは言え、この程度であれば剣で斬り壊せる。レシアは剣を持つ手に力を入れた。
刹那、既視感を感じる。
「……!」
レシアは後ろへ下がり、ルーンソードの気弾をアイスに撃ち込んだ。その瞬間、その場に大きな氷柱が立ち上がった。
「危な……剣で斬り付けてたらあの氷柱に巻き込まれてしまっていたぞ」
「ちょっ、何で今回に限って遠くから迎撃するのよ。いつもみたいに斬り掛かって、氷付けにしてから斬り掛かる技なのに」
「解説どうも。いや……たまたまとは言え本当に運が良い。あれは読めなかったぜ」
「アンタっていつも上手い事持ってくわよね」
「良くは分からないけど嫌な予感がしてさ」
喋りながらレシアはブルーに斬り付けた。ダガーでガードするも、弾かれて利き腕を斬られてしまった。
「う……どうやら勝負ありね」
「確かに強くはなっていたな。でも、俺の方がより強かった。それだけだ」
「そうみたいね」
「答えろ。ダーク・アサシンの正体は誰なんだ?」
「それはバダグに聞いたら? もっともバダグとバダグのモンスター隊に勝てたらの話だけど」
「モンスター隊? 何だそれは?」
「バダグが異世界から召喚している魔物よ」
「異世界? 魔物? そんなの聞いた事も無いぞ」
「そりゃそうね。私だって最近まで知らなかったわ。バダグがティアマットの力を借りてモンスターを召喚しているなんてね」
「ティアマット?」
「あれだな……女神ティアマトを参考にし造られた邪竜の事だな」
「よく知っているわね」
「しかしそんなん、架空の魔物だと思っていたが……」
「私も信じられなかったわ」
「と言うか、そんなんどう考えても危なすぎる。何でモンスター何か召喚しなければいけないんだ」
「何か依頼があったんじゃ無かったのか?」
「バダグがね、レッドが来るからって言ってこっちを優先させたの。全く、依頼の途中で戻されたんだから」
「そりゃ、大変だったな」
レシアがアサシンを辞めていなければ、ごく普通の会話だっただろう。でも今は殺し合う敵同士になっているのだ。
「アンタならこの秘密通路を通って来るって思っていたわ」
「そうだろうな。俺もブルーの立場だったらそう思うよ」
「これ以上、アンタに邪魔をされる訳にはいかないの」
「邪魔だって? お前達が殺したがっていたシヴァは死んだ。これ以上何の邪魔をするっていうんだ?」
「ダーク・アサシンを調べているんでしょ? それはちょっと戴けないわね」
「何だって?」
「バダグはダーク・アサシンを調べる者を抹殺しなければならないの」
「それは……バダグが何者かから依頼を受けているって事なのか?」
「これ以上、話す事は出来ないわ」
「ダーク・アサシンはブラックの縁者か何かなんじゃないか? 今までの情報やブラックの様子を鑑みるに……家族とかなんじゃ」
「答える義務は無いわ。私はアンタを殺す為に居るのよ」
「ブルーさん。ダーク・アサシンを調べるのをやめたら襲って来ないの?」
「どうかしら。やめる気は無いんでしょ? それにアンタ達は色々と知り過ぎているみたいだし」
「そう……ですか」
「それに別口の依頼で、私はナーダのロックも受けているのよ。忘れていない?」
「……忘れていました」
「……はぁ」
「どちらにしろ、私を倒さなきゃこの先には進めないわ」
「この前も言ったかもしれんが、最終通告はとうに過ぎている。今度こそ覚悟しろ」
「流石、自信満々ね? でも私だって日々強くなっているのよ」
「それは俺も同じ事。故にお前は俺には勝てない」
ブルーはアイスを放った。レシアは氷の魔法を剣で切り払うが、次の瞬間にはブルーは目の前まで迫って来ていた。そのままブルーはダガーを振るって来る。
「おっと、危ない。思ったより早くなっているじゃないか」
「かわされるとは思わなかったわ。流石はレッドね」
「お前の攻撃は分かっている。あの程度の奇襲で勝てるとは思わない事だな」
「私の魔法……アイスにしてもウィンドカッターにしても、当たりさえすればいくらアンタでもただでは済まないわ」
至近距離でウィンドカッターを放つ。
「それは分かっている。だからこそ油断はしない! 失敗は繰り返さない!」
「失敗……?」
レシアはウィンドカッターを切り払った。そのままシャドウを撃ち出す。ブルーはシャドウをダガーで受け止め後ろへ下がらされる。
「くっ、いくらレッドの魔法でも効くわね」
「ブルー、お前の攻撃も魔法も俺には通用しない。さっさと終わらせてやろう」
言われ放題だが、事実なのでどうしようもない。だが、1つだけ見せていない攻撃があった。
「良い気になるのもここまでよ。アンタを倒す為に会得したとっておきがあるわ。氷結破砕斬!」
ブルーから一際大きいアイスが放たれた。とは言え、この程度であれば剣で斬り壊せる。レシアは剣を持つ手に力を入れた。
刹那、既視感を感じる。
「……!」
レシアは後ろへ下がり、ルーンソードの気弾をアイスに撃ち込んだ。その瞬間、その場に大きな氷柱が立ち上がった。
「危な……剣で斬り付けてたらあの氷柱に巻き込まれてしまっていたぞ」
「ちょっ、何で今回に限って遠くから迎撃するのよ。いつもみたいに斬り掛かって、氷付けにしてから斬り掛かる技なのに」
「解説どうも。いや……たまたまとは言え本当に運が良い。あれは読めなかったぜ」
「アンタっていつも上手い事持ってくわよね」
「良くは分からないけど嫌な予感がしてさ」
喋りながらレシアはブルーに斬り付けた。ダガーでガードするも、弾かれて利き腕を斬られてしまった。
「う……どうやら勝負ありね」
「確かに強くはなっていたな。でも、俺の方がより強かった。それだけだ」
「そうみたいね」
「答えろ。ダーク・アサシンの正体は誰なんだ?」
「それはバダグに聞いたら? もっともバダグとバダグのモンスター隊に勝てたらの話だけど」
「モンスター隊? 何だそれは?」
「バダグが異世界から召喚している魔物よ」
「異世界? 魔物? そんなの聞いた事も無いぞ」
「そりゃそうね。私だって最近まで知らなかったわ。バダグがティアマットの力を借りてモンスターを召喚しているなんてね」
「ティアマット?」
「あれだな……女神ティアマトを参考にし造られた邪竜の事だな」
「よく知っているわね」
「しかしそんなん、架空の魔物だと思っていたが……」
「私も信じられなかったわ」
「と言うか、そんなんどう考えても危なすぎる。何でモンスター何か召喚しなければいけないんだ」