第61話
文字数 1,936文字
いつか見た世界へ空間転移していた。間違いなくここはニサラレスの居る異空間だ。
「来たな……ナーダとブルーも一緒か」
「ここは、ここが異空間?」
「何か凄く変な場所だね」
「まあ、そうだな。普通の空間とは全く違う」
確か前に来た時は、ニサラレスと戦った時にティアマットが参戦してきたんだっけか。正直アイツに勝てる気は全くしない。それでも今はニサラレスと戦うしかない。
「ここの何処かにバダグも……」
「ああ、居るだろうな。もしかしたらニサラレスと一緒に居るかもしれない」
「どうするの?」
「もしもの場合はお前達でバダグの相手を頼む。バダグもダメージを受けているから何とでも出来るかもしれん。その間に俺がニサラレスを倒してやるさ」
「ニサラレスに勝てるの?」
「……頑張るよ」
「ニサラレスさんはそんなに強いの?」
「現状どうなのかは分からないわ。でも最近までバダグにエネルギーを送って貰っていたから、弱っているって事は無いと思うわ」
「俺だって成長している。魔力を増強するアイテムも装備しているし」
「その宝石、バダグの持っているヤツと似ているわね」
「そうか?」
まさか違う時間の流れでバダグから預かった物とも言えずに、レシアは言葉を濁した。
進んだ先の大きなフロアにバダグが居た。より詳しく言うならば、ダメージでゆっくりと歩いてニサラレスの居るハズの方角へ向かっていた。
「バダグ!」
「な……レッドだと? どうやって此処に……ブルーも居るのか?」
「バダグ、一旦落ち着かない? このままじゃアンタ、死んじゃうよ」
「俺に構うな。しかしニサラレスの居場所まで分かっていたなんて」
「言っただろ、俺は特別なんだって」
「特別過ぎるだろう。しかしこうなった以上は戦うしかあるまい」
「アンタ怪我しているんだよ、無理だって……」
「黙れ」
バダグはこちらに向かって構える。明らかに精彩さを欠いており、ナーダですら勝てるんじゃないかという位だ。ここに来るまでの出血量も大分になるのかもしれない。
「大人しくしている事だ。バダグ、お前はもう休んでおけ。ああ、死ねって意味じゃ無くて」
「何を言っている……とにかく掛かって来い!」
「このわからずやめ!」
レシアは正面から剣を振るう。剣はバダグのセスタスに当たり、バダグは勢いで倒れる。もう踏ん張る事も厳しそうだ。
「ぐ……こんな所で」
「バダグ、アンタの負けだよ。ニサラレスの事は諦めるんだ。じゃなきゃアンタが間違いなく死んでしまうよ」
「ブルー、お前が裏切るとはな」
「私からしたらニサラレスよりアンタの方が大事ってだけよ」
「バダグ、親友であるニサラレスを護ろうと言うのは分からんでも無い。ティアマットの事もあって止められない……止めにくいのも知っている。でもここは退いて貰う」
「出来ないと言ったら?」
「世界の命運が掛かっている。最悪の場合はお前に死んで貰うしか無い」
「答えは出ているじゃないか。ここを通りたければ俺を殺していくんだな」
「……この馬鹿垂れが」
「馬鹿で結構」
レシアは再び剣を構える。そしてバダグへ歩み寄る。その時に奥の方から声が聞こえた。
「苦戦しているようだな、バダグ」
「ニサラレス? お前、正気に戻ったのか?」
「俺は元々正気だよ。あの時はちょっとだけ興奮してしまっていただけだ」
「ふ……ふふふ。俺のしてきた事は無駄では無かったのか」
「騙されるな。ニサラレスをよく見ろ。この魔力や気配、こいつはもう人間じゃ無い!」
「例え純粋な人間で無くなってしまっているとしても、コイツは俺の親友なんだ」
「良い事を言うな、バダグ。それならばその言葉を証明して見せてくれないか?」
「え……?」
ニサラレスが呪文を唱えるとニサラレスの前に1匹の竜が召喚された。ティアマットとはまた違う竜だ。
「バダグ、お前はこのままいては出血多量で死んでしまう。それならば、このバハムートを身体に住まわせてみないか? そうすれば今のお前の傷位なら治るだろうし、バハムートとの意識の戦いに勝てば、意識はずっとお前のままだ」
「それは……いや、確かにそうなのかもしれないな」
「馬鹿野郎! 今のお前でそんな竜に勝てるか!」
「フィジカルで見ればそうかもしれない。しかしメンタルとなれば別の話。少々のダメージで勝敗が変わる訳でも無い」
「バダグ、流石に無理だ」
「そうよ、辞めておいた方が良いよ」
「……もう俺は此処まで来てしまっている。今更止まらんさ」
「バダグ!」
バダグとバハムートが重なり、一瞬の内に変化を遂げる。その姿は竜の王ともいえる様な見た目で、若干顔にバダグの面影が残る程度だった。
「馬鹿な……!」
「そ、そんな……」
「バダグとバハムートで……バダグートだな、こりゃ」
「馬鹿な事を言っていないで!どうすんの!?」
「来たな……ナーダとブルーも一緒か」
「ここは、ここが異空間?」
「何か凄く変な場所だね」
「まあ、そうだな。普通の空間とは全く違う」
確か前に来た時は、ニサラレスと戦った時にティアマットが参戦してきたんだっけか。正直アイツに勝てる気は全くしない。それでも今はニサラレスと戦うしかない。
「ここの何処かにバダグも……」
「ああ、居るだろうな。もしかしたらニサラレスと一緒に居るかもしれない」
「どうするの?」
「もしもの場合はお前達でバダグの相手を頼む。バダグもダメージを受けているから何とでも出来るかもしれん。その間に俺がニサラレスを倒してやるさ」
「ニサラレスに勝てるの?」
「……頑張るよ」
「ニサラレスさんはそんなに強いの?」
「現状どうなのかは分からないわ。でも最近までバダグにエネルギーを送って貰っていたから、弱っているって事は無いと思うわ」
「俺だって成長している。魔力を増強するアイテムも装備しているし」
「その宝石、バダグの持っているヤツと似ているわね」
「そうか?」
まさか違う時間の流れでバダグから預かった物とも言えずに、レシアは言葉を濁した。
進んだ先の大きなフロアにバダグが居た。より詳しく言うならば、ダメージでゆっくりと歩いてニサラレスの居るハズの方角へ向かっていた。
「バダグ!」
「な……レッドだと? どうやって此処に……ブルーも居るのか?」
「バダグ、一旦落ち着かない? このままじゃアンタ、死んじゃうよ」
「俺に構うな。しかしニサラレスの居場所まで分かっていたなんて」
「言っただろ、俺は特別なんだって」
「特別過ぎるだろう。しかしこうなった以上は戦うしかあるまい」
「アンタ怪我しているんだよ、無理だって……」
「黙れ」
バダグはこちらに向かって構える。明らかに精彩さを欠いており、ナーダですら勝てるんじゃないかという位だ。ここに来るまでの出血量も大分になるのかもしれない。
「大人しくしている事だ。バダグ、お前はもう休んでおけ。ああ、死ねって意味じゃ無くて」
「何を言っている……とにかく掛かって来い!」
「このわからずやめ!」
レシアは正面から剣を振るう。剣はバダグのセスタスに当たり、バダグは勢いで倒れる。もう踏ん張る事も厳しそうだ。
「ぐ……こんな所で」
「バダグ、アンタの負けだよ。ニサラレスの事は諦めるんだ。じゃなきゃアンタが間違いなく死んでしまうよ」
「ブルー、お前が裏切るとはな」
「私からしたらニサラレスよりアンタの方が大事ってだけよ」
「バダグ、親友であるニサラレスを護ろうと言うのは分からんでも無い。ティアマットの事もあって止められない……止めにくいのも知っている。でもここは退いて貰う」
「出来ないと言ったら?」
「世界の命運が掛かっている。最悪の場合はお前に死んで貰うしか無い」
「答えは出ているじゃないか。ここを通りたければ俺を殺していくんだな」
「……この馬鹿垂れが」
「馬鹿で結構」
レシアは再び剣を構える。そしてバダグへ歩み寄る。その時に奥の方から声が聞こえた。
「苦戦しているようだな、バダグ」
「ニサラレス? お前、正気に戻ったのか?」
「俺は元々正気だよ。あの時はちょっとだけ興奮してしまっていただけだ」
「ふ……ふふふ。俺のしてきた事は無駄では無かったのか」
「騙されるな。ニサラレスをよく見ろ。この魔力や気配、こいつはもう人間じゃ無い!」
「例え純粋な人間で無くなってしまっているとしても、コイツは俺の親友なんだ」
「良い事を言うな、バダグ。それならばその言葉を証明して見せてくれないか?」
「え……?」
ニサラレスが呪文を唱えるとニサラレスの前に1匹の竜が召喚された。ティアマットとはまた違う竜だ。
「バダグ、お前はこのままいては出血多量で死んでしまう。それならば、このバハムートを身体に住まわせてみないか? そうすれば今のお前の傷位なら治るだろうし、バハムートとの意識の戦いに勝てば、意識はずっとお前のままだ」
「それは……いや、確かにそうなのかもしれないな」
「馬鹿野郎! 今のお前でそんな竜に勝てるか!」
「フィジカルで見ればそうかもしれない。しかしメンタルとなれば別の話。少々のダメージで勝敗が変わる訳でも無い」
「バダグ、流石に無理だ」
「そうよ、辞めておいた方が良いよ」
「……もう俺は此処まで来てしまっている。今更止まらんさ」
「バダグ!」
バダグとバハムートが重なり、一瞬の内に変化を遂げる。その姿は竜の王ともいえる様な見た目で、若干顔にバダグの面影が残る程度だった。
「馬鹿な……!」
「そ、そんな……」
「バダグとバハムートで……バダグートだな、こりゃ」
「馬鹿な事を言っていないで!どうすんの!?」