第9話
文字数 1,886文字
「で、今日は依頼は入っていないのか?」
「あるよ。元々、お前たちの為に取っておいた仕事だ。でもブルーが居ないんじゃ……ちょっと厳しいかもしれない」
「俺がそう簡単にしくじると思うのか?」
「……分かった。取り敢えず、話だけでも聞いてみるか?」
「ああ」
「ターゲットはナスナ・クール。元ハンターだ」
「ナスナ……聞いた事があるな」
「そうだろう。横領事件を起こしてハンターから解雇された男だ」
「確かに強敵だな。元々名の知れていたハンターだったし」
「うん。こいつに殺されたアサシンも相当な数に及んでいる。今までだって、何人ものアサシンが依頼でこいつを狙った。でも帰って来た者は居なかったからな」
確かにナスナの強さは噂でも聞いている。実際の強さは分からないが、実際に名のあるアサシンも返り討ちにあっているのは事実だ。
「お前を失うのはこちらもキツい。今回はスルーしても良いんじゃないか?」
「……いや、やるよ」
「そうか……分かった。ナスナの件はレッドに任せるよ。これ、ナスナの写真ね」
「サンキュー」
「しかしこの数日、ハンター絡みの依頼が多すぎるな。2日連続で珍しがってたくらいなのに」
「確かにこの系統の依頼が多いな。でもその理由までは分からないな」
「それで、コイツは何処ら辺に居るんだ?」
「最近はよくスラム街で目撃されているね」
「分かった。数日中にケリをつけよう」
「気を付けろよ。こいつはマジの手練れだからな」
「ああ」
家に帰ると良い匂いがした。ナーダがご飯を作ってくれていたのだ。
「あ、レシア。お帰り」
「ああ、ただいま。家に帰ってご飯が出来ているのも新鮮だな。……って焼肉じゃないか」
「ちょっと匂いが付くかもだけど、大丈夫だよね」
「全く、まあ良いけどさ」
昨日呼んだ掃除屋は、焼肉の匂いも消してくれるのだろうか?そんな事を思いながら椅子に座る。
「おっ、美味いじゃん」
「そうでしょ。もうこの焼肉のタレが絶品で」
「既製品かよ。でも美味い」
「ご飯が済んだらハンター支部に行ってくるね」
「ハンター支部?」
「レシアを見付けてくれた依頼の報酬をまだ払って無いし」
「そうか。でもよくハンターに依頼する金なんてあったな」
「家に残っていた無事そうな物を売ったりしたの。それに今は教会でお掃除や洗濯のアルバイトをしてるのよ」
「そうか、偉いんだな」
「レシアにも紹介しようか?」
「俺に家事は向いてない」
「そうね。村でも狩猟専門だったもんね」
あの頃は幸せだった…と思う。ゆっくりのんびり狩りをして、肉や毛皮を売ったり食べたりして生活出来ていた。どうしても厳しい時でも、村の特産品を売って生活出来ていた。
「あ、もうこんな時間。先に行くね」
「ああ。洗いモンくらいはやっておくよ」
「あんまり危ない事をしちゃ駄目なんだよ」
「早く行け」
ナーダは急ぎ足で出て行った。急に家が静かになってしまった。
「ナスナ……今日会えるだろうか?」
例え難しい相手だったとしても、勝たなければならない。今はアサシンとしてアサシンの仕事をこなす。仕事を頑張っている振りをして、色々情報を調べて行かないと。
「ハンター長はいつ出て来る? 今の俺ではアイツには勝てない。俺の寿命はあとどれくらいだろう?」
それでも今は、自分に出来る事をしていくしかない。もしかすると思っているより時間は無いのかもしれないのだ。
「夜になったらスラム街に行ってみよう」
夜のスラム街は相変わらず賑わっている。しかし大通りを外れてしまえば、人気も無く閑散としている。
「……見つけるのに苦労はしなかったな。普通に街を歩いてやがった」
写真と本人を感度も見比べる。間違いは許されないからだ。ナスナ本人であるという確信を得た後に、前へ移動する。
「ナスナ・クールだな」
「……ほう。レッド・アサシンの登場ですか」
「俺を知っているのか?」
「有名なアサシンの事くらいは分かりますよ。貴方ほどのアサシンが来るなんて、アサシン側も本気になってきたって事ですか」
「たまたまだよ」
レッドは剣を構える。ナスナも腰に掛けていた槍を構えた。
「私と殺り合いますか?」
「それが仕事だ。悪く思うな」
「私は別に構いません。誰が来ようと結果は同じだ!」
「お前には少し聞きたい事もある。拘束させて貰おう」
ナスナは槍で素早く突いてきた。それを剣で受け止める。思ったより重い攻撃だ。
「やる……アサシンダガーだったら駄目だったかもしれない。」
「この槍で何人ものアサシンを葬って来た。レッド・アサシン、貴方もその1人になるのだ」
「それは出来ないよ。俺が勝つ」
次のナスナの攻撃がレッドの腕に掠った。腕から血が流れる。
「あるよ。元々、お前たちの為に取っておいた仕事だ。でもブルーが居ないんじゃ……ちょっと厳しいかもしれない」
「俺がそう簡単にしくじると思うのか?」
「……分かった。取り敢えず、話だけでも聞いてみるか?」
「ああ」
「ターゲットはナスナ・クール。元ハンターだ」
「ナスナ……聞いた事があるな」
「そうだろう。横領事件を起こしてハンターから解雇された男だ」
「確かに強敵だな。元々名の知れていたハンターだったし」
「うん。こいつに殺されたアサシンも相当な数に及んでいる。今までだって、何人ものアサシンが依頼でこいつを狙った。でも帰って来た者は居なかったからな」
確かにナスナの強さは噂でも聞いている。実際の強さは分からないが、実際に名のあるアサシンも返り討ちにあっているのは事実だ。
「お前を失うのはこちらもキツい。今回はスルーしても良いんじゃないか?」
「……いや、やるよ」
「そうか……分かった。ナスナの件はレッドに任せるよ。これ、ナスナの写真ね」
「サンキュー」
「しかしこの数日、ハンター絡みの依頼が多すぎるな。2日連続で珍しがってたくらいなのに」
「確かにこの系統の依頼が多いな。でもその理由までは分からないな」
「それで、コイツは何処ら辺に居るんだ?」
「最近はよくスラム街で目撃されているね」
「分かった。数日中にケリをつけよう」
「気を付けろよ。こいつはマジの手練れだからな」
「ああ」
家に帰ると良い匂いがした。ナーダがご飯を作ってくれていたのだ。
「あ、レシア。お帰り」
「ああ、ただいま。家に帰ってご飯が出来ているのも新鮮だな。……って焼肉じゃないか」
「ちょっと匂いが付くかもだけど、大丈夫だよね」
「全く、まあ良いけどさ」
昨日呼んだ掃除屋は、焼肉の匂いも消してくれるのだろうか?そんな事を思いながら椅子に座る。
「おっ、美味いじゃん」
「そうでしょ。もうこの焼肉のタレが絶品で」
「既製品かよ。でも美味い」
「ご飯が済んだらハンター支部に行ってくるね」
「ハンター支部?」
「レシアを見付けてくれた依頼の報酬をまだ払って無いし」
「そうか。でもよくハンターに依頼する金なんてあったな」
「家に残っていた無事そうな物を売ったりしたの。それに今は教会でお掃除や洗濯のアルバイトをしてるのよ」
「そうか、偉いんだな」
「レシアにも紹介しようか?」
「俺に家事は向いてない」
「そうね。村でも狩猟専門だったもんね」
あの頃は幸せだった…と思う。ゆっくりのんびり狩りをして、肉や毛皮を売ったり食べたりして生活出来ていた。どうしても厳しい時でも、村の特産品を売って生活出来ていた。
「あ、もうこんな時間。先に行くね」
「ああ。洗いモンくらいはやっておくよ」
「あんまり危ない事をしちゃ駄目なんだよ」
「早く行け」
ナーダは急ぎ足で出て行った。急に家が静かになってしまった。
「ナスナ……今日会えるだろうか?」
例え難しい相手だったとしても、勝たなければならない。今はアサシンとしてアサシンの仕事をこなす。仕事を頑張っている振りをして、色々情報を調べて行かないと。
「ハンター長はいつ出て来る? 今の俺ではアイツには勝てない。俺の寿命はあとどれくらいだろう?」
それでも今は、自分に出来る事をしていくしかない。もしかすると思っているより時間は無いのかもしれないのだ。
「夜になったらスラム街に行ってみよう」
夜のスラム街は相変わらず賑わっている。しかし大通りを外れてしまえば、人気も無く閑散としている。
「……見つけるのに苦労はしなかったな。普通に街を歩いてやがった」
写真と本人を感度も見比べる。間違いは許されないからだ。ナスナ本人であるという確信を得た後に、前へ移動する。
「ナスナ・クールだな」
「……ほう。レッド・アサシンの登場ですか」
「俺を知っているのか?」
「有名なアサシンの事くらいは分かりますよ。貴方ほどのアサシンが来るなんて、アサシン側も本気になってきたって事ですか」
「たまたまだよ」
レッドは剣を構える。ナスナも腰に掛けていた槍を構えた。
「私と殺り合いますか?」
「それが仕事だ。悪く思うな」
「私は別に構いません。誰が来ようと結果は同じだ!」
「お前には少し聞きたい事もある。拘束させて貰おう」
ナスナは槍で素早く突いてきた。それを剣で受け止める。思ったより重い攻撃だ。
「やる……アサシンダガーだったら駄目だったかもしれない。」
「この槍で何人ものアサシンを葬って来た。レッド・アサシン、貴方もその1人になるのだ」
「それは出来ないよ。俺が勝つ」
次のナスナの攻撃がレッドの腕に掠った。腕から血が流れる。