46話  【変】化け猫の呪い!? 佐賀の「龍造寺八幡宮」

文字数 1,933文字

今回の変わり種スポットは佐賀の「龍造寺八幡宮」でも紹介しようかの。
龍造寺?
聞いたことがあるような、ないようなって感じだな。

龍造寺家は戦国時代から江戸時代のどさくさでお家が断絶したところじゃけえな。

歴史好きじゃないと、知らんでもしょうがないかもしれんのう。

ただ、龍造寺家はまた違った話でもよく知られとるんで、それで耳にしたんかもしれんな。

違った話?

ああ。

化け猫じゃよ。

化け猫だと!?

おお、さすがは妖怪退治のスペシャリスト。

そこに食いついたか。

当たり前だ!
で、それはどんな話なんですか?

ああ。

正確には「鍋島の猫騒動」と言うんじゃがな。


もともと龍造寺家は、大友家や島津家と九州の覇権を争っとった家で、世にいう「九州三国志」を繰り広げとった家なんじゃ。

で、1578年の耳川の戦いで島津にやられた大友家が脱落するんじゃが、大友家の領地を島津と龍造寺が取り合って、九州は2強対決となった。

そして、1584年の沖田畷(なわて)の戦いに敗れ、凋落した龍造寺家は家老の鍋島勝茂に、当主の座を取って代わられるんじゃ。

その後、失意の中、龍造寺隆信の孫・龍造寺高房が自殺未遂の末、病死するんじゃが、これが後年、「鍋島家の家臣に落ちた龍造寺家の末裔が、殿様の鍋島光茂に碁の腹いせで惨殺されたため、龍造寺家の飼い猫がその仇討のためにたたる」いう話にとってかわられたんじゃ。

えらい話にとって代わられたもんだな。
そんな話になるぐらい、鍋島のお殿様は悪い人だったんですか?

いや、そんなことはないな。

むしろ龍造寺家から鍋島家への権力移譲は、家中でもとくに大きな混乱が見られんほどスムーズなもんじゃったけえな。

むしろ家臣たちからの目から見ても、龍造寺隆信亡き後の龍造寺家には家中をまとめる能力はないとみなされとったんじゃろうな。

龍造寺家は家臣たちからも見放されてたんですか?

おう。

むしろ一門衆、つまり親戚からも見放されとったわ。

というのも、龍造寺高房は江戸幕府に何度も大名復帰を願い出るも却下され、自暴自棄になって無理心中を図ろうとしたんじゃが、自分の妻を殺害した後、自分は自殺を図るも死にきれず、その時の傷の療養をするため佐賀に戻るんじゃ。

で、その一か月後に病死してしまうんじゃが、その事態を重く見た幕府が、龍造寺一門に「佐賀藩は龍造寺家が継ぐべきか、鍋島家が継続統治すべきか」と問い合わせたんじゃ。

で、どうなったんだ?
一門衆からの答えは「これまでどおり鍋島家が統治すべき」というもんじゃった。

親戚からの答えが、それで一致していたのなら、

推して知るべしというところですね。


じゃあ、なんで「化け猫騒動」の話が

そんなに広まったんだ?

そこは物語じゃけえとしか言いようがないのう。

ただ、いくつか要因があるのはたしかじゃな。

要因?

ああ。

「龍造寺高房が、無理心中を図った末の病死という不可解な死を遂げていること」「家中の大半が鍋島家を推したが、龍造寺家の本家の生き残りがそこに異を唱えて訴訟を起こしたこと」「龍造寺から実権を奪った鍋島直茂がその数年後に81歳で死ぬが、その死因が耳に腫瘍ができ、激痛に苦しんだ上での悶死であったこと」「藩主・鍋島勝茂の子が、突然死したこと」など、亡霊さわぎと結び付けられそうな話がいくつも起こっとったんじゃ。

なるほどな。
その上、龍造寺高房の死の直後、佐賀城下ではその亡霊が馬に乗って城下を駆け回るという怪異があったそうな。
マジかっ!?

あくまで噂の類じゃがな。

ただそういう噂があったいうのは事実なんじゃ。

実際本当にあったんでしょうか?

わしの見解とすれば「龍造寺家の本家の生き残りとその仲間が、あえて幽霊騒動を起こした」というのが真相じゃないかと思うんじゃがな。

実際に変装して騒ぎを起こしたんか、伝手を使ってそういう噂を流しただけなんかはわからんが、そいつら以外にそれで得するやつらはおらんじゃろうけえ、そのへんが犯人じゃろうな。

根が深い話なんだな。

ま、そんなわけでか、佐賀の「龍造寺八幡宮」にはなぜか猫の看板があったんじゃ。

これがそうじゃな。

マジだっ!
ここは龍造寺家を祀ったところなんでしょうか?

いや。

ここは龍造寺家と鍋島家の崇敬があった神社いうだけで、別にそれらを祀ったもんじゃないんじゃ。

じゃあ、なんで?
たぶん神主さんか氏子さんらが「猫つながり」でやったことなんじゃろうて。

そんな理由か!

ま、化け猫をおどろおどろしく扱うより、このぐらいのほうがええじゃろうて。

変わった試みじゃああるが、悪いもんでもなかろうけえ、わしはかまわんと思うわ。


そんなわけで小さい神社ながら、戦国時代から続く佐賀市内の由緒ある神社「龍造寺八幡宮」、みなさんも佐賀に行かれた際はぜひ足を運んでみてつかあさい!

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)
※これは自由参加コラボです。誰でも書き込むことができます。

※コラボに参加するためにはログインが必要です。ログイン後にセリフを投稿できます。
※本コラボは完結済みです。

登場人物紹介

今岡英二(天使)


いまや「小説のキャラよりキャラが立っている」でおなじみの、同コラボノベルの作者。

行動力の化け物。

昔バンド活動をやっていたときは音楽漬けの生活をしていたが、

作家/ライターの生活に移ってからは本漬けの日々を送っている。

そのわりには動き回ることを止めないのはなぜなのか。

目下のところ、それは謎である。


「物書きが自分の足で情報を探さんようになったらおしまいじゃ(笑)」とは本人の弁。


今岡英二(悪魔)


悪魔イラストの割りに、根が優しく義理堅い人情派。広島生まれ・広島育ちの根っからのカープファンだが、だからといって他の野球ファンを貶めることはない。野球好きに貴賎はないというのが信条。


「三食食えて野球が見られる。これ以上の幸せがあろうか……。あとはこれでまたカープが優勝してくれりゃあ、言うことなしじゃ……」とは作者のコメント。


今岡英二(お守り)


歴史オタク・読書オタク・漫画オタク・勉強オタクな今岡英二の変態担当、作家・ライター担当。自身の小説キャラを辟易とさせるなど、悪魔よりも悪魔っぽい存在。


「なんでそんなものまで見るんだ!」「ふつうそんなところなんか行きませんよ!」とキャラにつっこまれても、「勉強のためじゃけえの」と言えば大抵のことは許されると思っているなど、余計に性質が悪い。


ニコル・クロムウェル(Nicol=Cromwell)


「Dr.ニコルの検死FILE」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役A。紳士然とした丁寧な語り口だが、作者に対してはたまに辛辣な物言いを吐く。たぶんストレスがたまっているんだね。


武松(ぶしょう)


「大宋退魔伝」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役B。そろそろ「左近ちゃん 見参!」の三成にでもつっこみ役を代わってもらいたいと思っているが、同作のキャラアイコンが家紋なので却下され、最近やさぐれ気味。きっとストレスがたまっているんだね。


石田三成(いしだ・みつなり)


「左近ちゃん 見参!」の主人公。

同作ではいいツッコミ役を果たしていたが、作者の「キャラアイコンにしっくりくるのがなかったけえ、家紋にした」という一言のせいで、ここでは活躍の場を与えられないという憂き目に遭う。ごめんな。


ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色