05話② 【変】そっちじゃない吉祥寺
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「八百屋お七・吉三郎の比翼塚」がある。
比翼というのは?
比翼はよく「比翼連理」という言葉で使われるがの。
「比翼」は片方ずつの羽しか持たない想像上の鳥のことで、
つがいがいなければ生きていけないとされとるんじゃ。
「連理」は根っこが別じゃが、幹や枝でくっついた二本の木のことで、
これも相手がいなければ枯れ果ててしまうというわけなんじゃ。
総じて、夫婦和合、恋愛成就のシンボルとされとるんじゃ。
なるほど。
恋愛が元で死刑となった女性であるがゆえに、せめて死後はってことか。
粋なことするもんだぜ。
ああ、そのことか。
それは至ってシンプルでな。
ふつう「吉祥寺」っていうと、この文京区のお寺じゃなく、
ふつうは「住みたい街一位」の吉祥寺のほうを連想するじゃろ?
それもあるがな。
むしろあっちの吉祥寺は、このお寺の名前から来とるんじゃ。
こっちが大元いうわけじゃな。
そうなのか!?
おう。
実はこの時の火事、通称「お七火事」で、ここら一帯の人が焼け出されての。
その再建工事の時、幕府が住民を強制移住させたんじゃ。
で、吉祥寺に移り住んだ人らが「せめて地名だけでも元のままがいい」言うて、
その地を吉祥寺と付けたんじゃ。
いまでは「住みたい街一位」になってるというのは、なんとも皮肉な話じゃのう。
ちなみにこの吉祥寺は桜の名所で知られとるんでな。
言うほど変わり種スポットいうわけでもないのは付け加えておくかの。
桜のシーズンじゃと、こういう景色が見れるんじゃ。
あと、ここは「二宮尊徳」や「榎本武揚」のお墓もあるんで、
そういうのを目当てに来てもえかろうな。
そんなわけで今回紹介したお寺さん、桜の季節にはもってこいの場所なんで、
みなさんもぜひ足を運んでみてつかあさい!