42話② 【レア】勝運を授かりたいなら、この「太郎坊宮」

文字数 1,461文字

で、そのめずらしい神様というのは?

ああ。

ここと同じ神様を祀っとる神社は、ここを含めて10社もないんじゃ。

ちなみに神社本庁に登録されとるのが78000社で、それ以外に単立神社が2000~3000社程度あるといわれとるけえ、だいたい日本には全部で8万を超える神社があるといわれとるんよ。

で、一番多いのが稲荷を祀っとる稲荷神社で、これがだいたい19800社あるといわれとるな。

多いなっ!!

それ以外に、八幡社が約14800社、天神社・天満宮が約10300社、諏訪神社が約5700社、神明社が約5400社という感じで続くんじゃ。

むろん単立の神社じゃと、その1社でしか祀られとらんいうのもおりはするが、ちゃんとした神様で、古書にも載っておるのに、10社もないいうのは、かなりレアじゃあいうのがわかろうて。

たしかにそれは少ないな……。
で、そのレアな神様って、いったいどんな神様なんですか?

ああ、それはじゃな。

「正哉吾勝勝速日天忍穗耳尊(まさかつあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと)」という神様なんよ。


長えよ!!

しかし、勝ち運の神様というだけあって、「勝」という字が二回もありますね。
そう、これは「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」「素戔嗚尊(すさのおのみこと)」の誓約で生まれた五皇子の長男で、「天忍穗耳尊(あめのおしほみみのみこと)」のことを指すんじゃ。
よく知ってんな……
『日本書紀』に書かれとるけえな。
なんでそんなのまで知ってるんですか……
勉強したけえな。
そうだろうよ……
で、この「正哉吾勝勝速日天忍穗耳尊(まさかつあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと)」という名前についてじゃが、「正哉吾勝(まさかつあかつ)」は「正しく勝った、私が勝った」の意で、「勝速日(かちはやひ)」は「勝つこと日の昇るが如く速い!」の意で、「天(あめの)」は神の枕詞みたいなもの、「忍穗耳(おしほみみ)」は「威力(生命力)に満ちた稲穂の神」という意味になるんじゃ。
正哉吾勝勝速日の部分はまるで勝ち名乗りみたいな感じですね。

ほう、ようわかったのう。

実はこれ、素戔嗚尊が姉の天照大御神に向かって、「自分の心が清らかならば男神が生まれ、そうでなければ女神が生まれる」という「誓約(うけい)」を行って、その後、姉から借り受けた勾玉をカリカリと噛んで掃き出して五皇子を生んだ際に、姉に向かって言い放った言葉なんじゃ。

清らかなのに、清らかじゃねえ!!

ま、そこは古代神の話じゃけえな(笑)

わりと「おいおい」いうようなことはあるで。

そんなもんですか……

そこがまたおもしろいところではあるんじゃがな。

ちなみにその天忍穗耳尊を祀っとる本殿はこんな感じじゃ!

意外とちっせえ!!
もともとが山奥の、かなり奥深いところにある神社じゃけえな。
これ、登るのもかなり苦労したんじゃないんですか?
無理して、がんばった。


無理すんな!
ま、がんばったおかげで、そのレアな神社が拝めたわけじゃし、他にも天狗が住むという「夫婦岩」などの奇岩も見れたわけじゃけえ、問題はないよ。
夫婦岩?

ああ。

本殿の前にある、幅80㎝の参道が12mほど続く岩の裂け目でな。

これは神の神通力によって開かれたと伝えられ、悪心のある者が間を通ると挟まれるともいわれとるんよ。


挟まれなかったか?
おう、すんなり通れたけえ、

わしの善心が証明されたいうわけじゃな!

お、おう……
よ、よかったですね……

そんなわけでアスリート御用達のレア神社「太郎坊宮」、みなさんも近江方面にいかれた際はぜひ足を延ばして、訪れてみてつかあさい!


ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)
※これは自由参加コラボです。誰でも書き込むことができます。

※コラボに参加するためにはログインが必要です。ログイン後にセリフを投稿できます。
※本コラボは完結済みです。

登場人物紹介

今岡英二(天使)


いまや「小説のキャラよりキャラが立っている」でおなじみの、同コラボノベルの作者。

行動力の化け物。

昔バンド活動をやっていたときは音楽漬けの生活をしていたが、

作家/ライターの生活に移ってからは本漬けの日々を送っている。

そのわりには動き回ることを止めないのはなぜなのか。

目下のところ、それは謎である。


「物書きが自分の足で情報を探さんようになったらおしまいじゃ(笑)」とは本人の弁。


今岡英二(悪魔)


悪魔イラストの割りに、根が優しく義理堅い人情派。広島生まれ・広島育ちの根っからのカープファンだが、だからといって他の野球ファンを貶めることはない。野球好きに貴賎はないというのが信条。


「三食食えて野球が見られる。これ以上の幸せがあろうか……。あとはこれでまたカープが優勝してくれりゃあ、言うことなしじゃ……」とは作者のコメント。


今岡英二(お守り)


歴史オタク・読書オタク・漫画オタク・勉強オタクな今岡英二の変態担当、作家・ライター担当。自身の小説キャラを辟易とさせるなど、悪魔よりも悪魔っぽい存在。


「なんでそんなものまで見るんだ!」「ふつうそんなところなんか行きませんよ!」とキャラにつっこまれても、「勉強のためじゃけえの」と言えば大抵のことは許されると思っているなど、余計に性質が悪い。


ニコル・クロムウェル(Nicol=Cromwell)


「Dr.ニコルの検死FILE」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役A。紳士然とした丁寧な語り口だが、作者に対してはたまに辛辣な物言いを吐く。たぶんストレスがたまっているんだね。


武松(ぶしょう)


「大宋退魔伝」の主人公。

作者・今岡英二のつっこみ役B。そろそろ「左近ちゃん 見参!」の三成にでもつっこみ役を代わってもらいたいと思っているが、同作のキャラアイコンが家紋なので却下され、最近やさぐれ気味。きっとストレスがたまっているんだね。


石田三成(いしだ・みつなり)


「左近ちゃん 見参!」の主人公。

同作ではいいツッコミ役を果たしていたが、作者の「キャラアイコンにしっくりくるのがなかったけえ、家紋にした」という一言のせいで、ここでは活躍の場を与えられないという憂き目に遭う。ごめんな。


ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色