17話 【変】大分・別府駅前の「変なおじさん」像
文字数 1,375文字
おう、ほうじゃな。
基本的に史跡を見るのが好きじゃけえ、
城跡や碑は外せんところじゃな。
たとえば偉人の誕生地や墓、
はては銅像とか見るのもおもしろいのう。
だけとは限らんで。
幕末の志士のだってあれば
平安時代の偉人のだってある。
昭和の政治家のだってあるぐらいじゃしな。
いわれてみれば、
一般的にはよくわからない、
なにかの創業者の銅像とかもありますよね?
さすがにそこまでいったらきりがないけえ、
わしが知らん人の銅像には興味ないがな(笑)
でも、ああいう銅像って、
たいてい代わり映えのしない、
つまらないのが多くないですか?
時代が古いのであれば甲冑や正装とかで見栄えがしますが、
そうでないのは顔以外大して変わらないでしょう?
たしかにのう。
だが、そうでもないのもあるんじゃ!
それが別府駅にある、この変なおっさんの像じゃ!
これ、銅像なんですか?
なにかのオブジェじゃないんですか?
油屋熊八?
あまり聞いたことがないですね。
ま、ほうじゃろうな。
でも、大分の別府や由布院は聞いたことあるよの?
有名も有名よ。
なにしろ湯量一位が別府で、二位が由布院。
大分のこの2つの温泉観光地が
常に堂々のワンツーなんじゃけえな。
その別府の観光開発を進め、
由布院を温泉保養地化したのが、
この油屋熊八なんよ。
実業家だったってことですか!
ああ。
なにしろ別府亀の井ホテルもこの人がつくったもんじゃし、
日本初の「バスガイドの解説付き、観光バス」も
この人のアイディアじゃったそうじゃねえな。
財界で成功した人だったんだな。
じゃあ、家族はうはうはだったんじゃねえか?
いや、実はそうでもなかったそうな。
というのも、いまでこそ観光開発には公費が使われるが、
当時はそういうことがなくてな。
この油屋熊八が私財を投じて進めたそうな。
おかげで油屋熊八の没後、
借金のせいで油屋家所有の自動車会社や旅館は
売り払われてしまったそうな。
ただ、別府市民からは
「別府観光の父」「別府の恩人」の慕われとってな。
2007年に別府駅前に銅像が建てられるに至ったいうことなんじゃ。
それにしてもこのデザインは
なんとかならなかったんですかね。
いや、油屋熊八はアイディアマンじゃった上に
子ども好きでもあったそうなけえ、
真面目ぶった銅像より、
案外こういうののほうが喜んどるんじゃないかの。
少なくともわしはそう思うとるよ。
言われてみれば
そうかもしれませんね。
そんなわけで、別府駅前の油屋熊八像、みなさんも別府に行かれた際はぜひ見てやってつかあさい!
なにしろ映画『千と千尋の神隠し』の舞台・『油屋』は、この油屋熊八から付けられてるといわれとるけえ、聖地巡礼にももってこいじゃろうしな!
おいっ、最後!
しれっと大きなネタを
入れこまないでください!
街の名士の銅像でこれほどおもしろい銅像は他にないですな。
それだけ愛されキャラじゃったんじゃと思います!