16話② 【変】黄金の国ジパングの「えりも黄金トンネル」
文字数 862文字
おう。
答えは「道路をつくるのにめちゃくちゃ金がかかったから」
いうのが本当のところなんじゃ。
そんな理由かよ!
しょうがなかろうて。
なにしろ北海道の中でも難所中の難所でな。
昭和2年着工開始で、終わったんが昭和10年、
ゆうに8年の歳月と、20人の犠牲の上に完成した道路なんじゃ。
ああ。
昭和35年には舗装化の工事も進められたんじゃが、
そのときには当時の価格で1キロあたり9億8000万もかかったんじゃ。
当時の一般的な国道の10倍近い費用がかかったそうな。
なので、まさに「黄金を敷き詰めた」ほどの道路いうことで
「えりも黄金道路」と名付けられたいうことなんじゃ。
ちなみにここは今でも難所であることにかわりはなく、
落石やら波をかぶったりで、通行止めになることもしばしば。
平成9年から18年までの10年間で、都合112回も通行止めになったそうじゃ。
年10回以上ですか。
それは多いですね。
ちなみにここに作られた「えりも黄金トンネル」は
北海道で一番長い全長4.9キロもあるトンネルなんじゃ。
かかったと思うで。
もっともこの時、このトンネルを通るのには
こっちも命がかかっとったがな。
お前のう……。
全長4.9キロもあるトンネルが全停電しとってみい。
中はまっくらでなんも見えんので!
こんな感じじゃしのう!
なんぼ車のライトがあるいうても、
それ以外はなんの頼りもないんじゃけえ
かなりのヒヤヒヤもんじゃったわ。
生きた心地せんかったで……。
そりゃ、そうでしょうね……。
いくら変人のお前さんでも、
さすがにこりたか……。
まあのう。
何事も平穏無事が一番いうんを再確認できたけえ
それだけでも重畳といえようがの。