第60話  7月  樹  (改

文字数 937文字

暑い。
暑過ぎる。

梅雨が明けた7月初めは猛烈な暑さが続いていた。

そしてまた思うのだった。
「これは誰かの陰謀じゃないか」と。

いや、・・・これこそがグレートフィルターの先駆けかも知れない。こんな風にして異星人達(もしも存在していたとするなら)は自らの首を絞めて行ったのか・・?
それに気が付いている人はこの世界でどれ位いるのだろうか・・・。自分を含め・・。
(樹は最近、天文オタク系の動画にはまっている)


今がこれだったら、8月にはどうなってしまうのだろう・・?
一億、総干物だよ。
誰か、はるか上空にあるCO2を分解し、吸収してくれる何かを開発してくれないだろうか?
地球規模の環境破壊を何とかしてくれないだろうか。
この暑さを何とかしてくれ!

大体、地熱発電はコスパ悪過ぎって言うけれど、それを何とかモノにすんのが政府の仕事でしょう?
実際活用している国もあるんだし。
もっと真摯に頑張れよ!
研究開発にもっとお金を掛けろよ!
あの莫大な地熱を温泉だけで楽しむのは如何にも勿体ない。
技術大国日本は過去の栄光と化したのか・・・?
樹はぶつぶつと文句を言う。
暑いと色々な事に当たりたくなる。


「珠衣は涼しいだろうなあ・・・」
史有が羨ましい。

大変だった3年生も目出度く卒業し、4月には新しい一年生も入学した。
これがまたなかなかの強者(つわもの)揃いだった。
6年生で学級崩壊、いや、学年崩壊した学校からごっそりとやって来たのだ。やんちゃな人達が。
やんちゃボーイや、やんちゃガールが。

書道部にはそんな環境から逃げる様に大人しい人達がやって来た。
和気あいあいと文字を書いている。
まるで砂漠の中のオアシスの様だと樹は思った。


そんな訳で、朝はぼーっと出勤する樹だったが、職員室で栄養ドリンクを一本ぐっと飲んで気迫スイッチを入れる。
「よっしゃ!!行くで!」
そして鎧を5着程重ね着した感じで1年生の授業に赴くのだった。
鎧をがしゃがしゃと言わせて階段を上がると、朝からわあわあと元気なクラスのドアを開ける。
仁王立ちして「お早うございます!」と叫ぶ。
「さあ。楽しい歴史の授業です!静かにしましょう!」
ちょっと静まるが、数秒後にはまたわあわあと始まる。
樹は一瞬倒れそうになるが、全身の気を奮い起こして大魔神さながらの気迫で教室へ入るのだった。
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