第38話  龍 3

文字数 382文字

 龍は理沙を飲み込んでしまった。
潜って行く龍を唖然と見下ろす。
はっと気が付く。
融は慌てた。
「怜、吐き出させろ。体が無くなったら不味い」
「今頃何を言っているんだ。そんなのはもう無理だ。お前は馬鹿か!」
怜は返す。

「怜。駄目だ。体が必要だ。彼女が消えたら面倒な事になる」
小夜子までもがそんな事を言い出した。
「はあ?」
「いいから!早く!龍に吐き出させて!死体でも何でもいいから!」
「くそっ!」
怜は走って水に飛び込んだ。
龍を追う。
「待て。待ってくれ」
龍は潜水を止めて怜を振り返る。

怜は龍の鬣を掴むと口に向かって移動する。
「開けろ!開けるんだ!その女を返せ!」
口を無理やり開けようとする。しかし龍に対して怜は余りにも非力だ。
龍の赤い目が長い口に取り付くちっぽけな怜を見る。
怜はその目を見返す。
「開けるんだ!」
龍は頑固に口を閉じていたが、突然がばりと口を開くと怜を飲み込んだ。

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