第19話 魔の連休 由瑞
文字数 732文字
同じく遡る事一日前。
由瑞は朝早く珠衣に来た。昨夜は市内のホテルに泊まった。客が来るのは明日だから、今日は準備することもあるだろうと、ホテルを早めに出た。
赤津の家の前まで来て、鳥居の横に黒のBMが置いてあるのに気が付いた。
由瑞はナンバーを確認する。
「東藤家が来ているのか・・?明日の筈だが・・・」
車を庭に入れるとそのまま鳥居を抜けて石段を上がった。
神社の前に来てはたと立ち止まった。
東藤家と融が神社の階段に座って、親し気に話をしている。
理沙の顔には明るい笑顔が浮かんでいた。
理沙は石段を上がって来た男を見て驚いた。
立ち上がって由瑞を見詰める。
そして「・・・何だ」と言った。
「佐伯さん。あなた、この神社の関係者だったの?」
理沙は言った。
「ああ、弟がね。どうして君がこんな場所に・・?」由瑞は驚いた顔で言った。
理沙はじっと由瑞を見て「ちっ」と舌打ちをした。
「あの女、騙したのね・・・」
理沙は忌々し気に言った。
由瑞は冷たく言った。
「何を?・・・知らないな。それよりも水晶玉を返してくれ。東藤家の人間は盗人なのか?」
「何の事?水晶玉なんか知らないわ。変な言い掛かりを付けないでくれる?」
理沙は無表情にそう返す。
2人は冷たくお互いを見る。
融はそんな2人を見ていたが、立ち上がって言った。
「じゃあ、東藤家さん。そう言う事で。また」
「分かりました。赤津さん。・・・でも、ちょっと待って。耳を貸してくれる?内証話があるのよ」
そう言って融に耳打ちをする。由瑞は視線を逸らせた。
理沙は耳打ちを終えると、にやりと笑って由瑞を見た。由瑞は苦笑する。
まるで子供みたいな嫌がらせだ。
理沙はふふと笑うと「じゃあね。赤津さん。また後程」と手を振った。
石段を下りていく理沙の後ろ姿を二人は見送った。
由瑞は朝早く珠衣に来た。昨夜は市内のホテルに泊まった。客が来るのは明日だから、今日は準備することもあるだろうと、ホテルを早めに出た。
赤津の家の前まで来て、鳥居の横に黒のBMが置いてあるのに気が付いた。
由瑞はナンバーを確認する。
「東藤家が来ているのか・・?明日の筈だが・・・」
車を庭に入れるとそのまま鳥居を抜けて石段を上がった。
神社の前に来てはたと立ち止まった。
東藤家と融が神社の階段に座って、親し気に話をしている。
理沙の顔には明るい笑顔が浮かんでいた。
理沙は石段を上がって来た男を見て驚いた。
立ち上がって由瑞を見詰める。
そして「・・・何だ」と言った。
「佐伯さん。あなた、この神社の関係者だったの?」
理沙は言った。
「ああ、弟がね。どうして君がこんな場所に・・?」由瑞は驚いた顔で言った。
理沙はじっと由瑞を見て「ちっ」と舌打ちをした。
「あの女、騙したのね・・・」
理沙は忌々し気に言った。
由瑞は冷たく言った。
「何を?・・・知らないな。それよりも水晶玉を返してくれ。東藤家の人間は盗人なのか?」
「何の事?水晶玉なんか知らないわ。変な言い掛かりを付けないでくれる?」
理沙は無表情にそう返す。
2人は冷たくお互いを見る。
融はそんな2人を見ていたが、立ち上がって言った。
「じゃあ、東藤家さん。そう言う事で。また」
「分かりました。赤津さん。・・・でも、ちょっと待って。耳を貸してくれる?内証話があるのよ」
そう言って融に耳打ちをする。由瑞は視線を逸らせた。
理沙は耳打ちを終えると、にやりと笑って由瑞を見た。由瑞は苦笑する。
まるで子供みたいな嫌がらせだ。
理沙はふふと笑うと「じゃあね。赤津さん。また後程」と手を振った。
石段を下りていく理沙の後ろ姿を二人は見送った。