第78話 訪問者
文字数 3,164文字
突然オーハラ家に見知らぬ人間たちがやって来た。
客とやらをオーハラとトラヒコが玄関先で出迎える。
一瞬妙な間が空くが、オーハラはすらすらと挨拶を述べる。
オーハラとトラヒコは、3人の客をリビングへ通す。
その足元にはアカリ
家族みんなで階段に佇んでいたら、ファーマが話しかけてきた。
玄関からリビングへ移動中だったアカリ婆とヒカリ爺は、ファーマに話しかけられて立ち止まる。
おれは改めてリビングのほうに視線を向けた。
人間たちは大きな卓の左右に向かい合って腰を下ろしている。
ファーマは
ツートンだけでなく、みつきも食い気に釣られてヤツの後をついて行ったからその部屋の中にいる。
ただし人間を警戒しているので、部屋の敷居をまたごうとはせず、じっとその場に
息子は話しかけられても顔を上げずにいる。
問いに答えず、視線も合わせず、スマホとやらに夢中のようだ。
なんとなく気まずい空気が漂いはじめるが、オーハラ夫妻は慣れているのか、動じた様子もなく猫に話しかける。
彼はかすかにつぶやいた。
人の耳には感知できなくても、猫の耳は相手がなんと言っているのか一言一句逃さず聞き取れてしまうのだ。
オーハラはゴマ団子の体に手を触れながら、いたわるように語りかけた。
中年女性はオーハラに紙袋を渡した。
ツートンは紙袋に片手を伸ばし、強引に奪おうとする。
それまで慎重だったみつきが、焼きカツオと聞くや否やオーハラのもとへ突進した。
オーハラは焼きカツオを袋から出して二つに割る。
それを器にのせて足元に置くと――
怒涛の勢いで食いつくツートンとみつき。
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