第48話 お別れ会
文字数 2,504文字
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大地たちの里親の話がまとまってから、しばらく日数が経った。
おれたち家族は、相変わらずオーハラ家の猫部屋にいる。
この一室で大半の時間を過ごし、気ままに寝起きし、じつに平和的な生活を送っている。
朝、目が覚めると、
イザベラがおれの容貌を見て、にこやかに微笑んだ。
メデアとイソルダもおれを見て、シッポを揺らして頷く。
とはいえ子どもに褒められるのはうれしいものだ。
おれは照れかくしに傷跡を手で洗うと、毛づくろいの要領で爪を軽く噛んだ。
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その直後のこと。
扉の向こう側から声が聞こえてきた。
ファーマがドアを開けてくれとガシガシ
するとイザベラが巧みなジャンプでドアを開け、彼女を室内へ迎え入れた。
1階のプレイルームは、犬猫の遊び場として使っている部屋だ。
彼女は用件を伝えると、部屋を去っていった。
日が傾き始めた頃――
ファーマの言葉に従って、おれたちはコッソリ部屋を抜け出し、1階のプレイルームへと向かった。
オーハラは買い物に出かけているらしく、トラヒコも仕事だ。
家に人の姿はない。
部屋の近くまで来ると、おれたちの足音を聞きつけたらしく、
さっそく大地が廊下から顔をのぞかせて歩み寄ってきた。
アミもおれたちのそばに来て、礼儀正しく挨拶をした。
ファーマが呆れたように苦笑いする。
その後ろに、神出鬼没の白黒猫が現れた。
ツートンは、おれに喧嘩をふっかけてくるわけでもなく、物静かに佇んでいる。
おれたちは遊具だらけの室内に足を踏み入れた。
キャットタワー、登り棒、テント。
猫たちが退屈しないよう気配りされた空間だ。
部屋の中央へ向かっていくと――
壁際のハンモックでくつろいでいた、ヒカリ
お別れ会の参加メンバーは猫と犬の混合で、きちんと全員が参加している。
おれ以外は、イザベラ、メデア、イソルダ、アミ、大地、ファーマ、そしてツートン。
犬は、ヒカリ爺とアカリ婆。
悪ノリして姉に襲いかかるイソルダ。
それに反撃するメデア。
はしゃぎだす子どもたちを、冷ややかなまなざしで見ている者がいた。
――ツートンだ。
彼は離れた場所で丸まりながら、こちらが聞きとれるくらいの小さな声で悪態をついた。
ツートンのつぶやきを耳にした途端、おれの中に抑えこんでいた野性の衝動が強く
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