第66話 どうする猫様!?
文字数 2,659文字
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みつきが家に戻ってきた後。
おれたち
窓辺に佇むおれの向かいには、ソファーの上でくつろぐファーマもいる。
ツートンの策略に
むろん、確実に実行するとは言い難い。
だが猫も人も、感情で動く生き物だ。
母猫に叱られ、やや身をすくめる子どもたち。
イザベラは厳しいときもあるが、考え方がしっかりしているから教育に信念がある。
となると、やはり疑われるのはおれしかいない。
結局ヤツを傷つければそれが裏目に出て、オーハラやトラヒコの信頼をさらに損なうことになってしまう。
メデアはちょっと不快そうにシッポをパタパタさせる。
そう娘を励ました直後のことだった。
ピコーン!
コミカルな音と共に、おれの頭に閃きが生まれる。
ツートンは、初めてみつきと逢ったときから彼女に惹かれている。
先日そのみつきに対し、ヤツは興味のない素振りを見せた。
だが、あれが多重猫格のせいだったと考えれば、彼女への好意は失われていないはず……。
呆れたように言って、イザベラはおれに提案する。
ファーマも賛成し、身を乗りだす。
さっそくおれたちはみつきのいる部屋へと移動した。
ケージ越しにみつきへ事情を打ち明けると――
おれはみつきへ警戒を促す。
ツートンに聞かれては、計画が元も子もなくなってしまう。
よほど衝撃だったのか、みつきの口から普段出ないような
イザベラは、みつきに教えるために床に寝そべって実演していた。
丸みを帯びた体がプルンプルンと揺れている。
毛に隠れてはいるが、おなかにはいくつもの乳があるのだ。
これはイカン……と思い、おれは目を逸らした。
凝視していると、オスの本能が激しく刺激されてしまう。
イザベラは起き上がり、みつきのそばへ寄って元気づけた。
単純なみつきは、イザベラの激励を受けると、
まるで部屋を灯すスイッチを入れたように、パッとその顔に明るさが戻る。
みつきの快い返事を受けて喜ぶ子どもたち。
家族そろって、にこやかな笑みにつつまれたのも束の間だった。
たちまち気まずい沈黙がのしかかる。
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窓の外では陽射しが徐々に傾いて、遠くで雷鳴が唸りはじめていた。
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