第79話 訪問者②
文字数 2,374文字
焼きカツオをむさぼる猫たちの横で、人間たちの話し合いは続いている。
さきほどの自己紹介の場面を上回るほどの気まずさだ。
おかしな空気感に息を呑みながらも、オーハラは硬い笑みを顔に張りつかせて意見する。
よほど客たちの言葉が目には見えない毒気になっているのだろうか。
そんな者達に引き取られるかもしれないと思うと、同じ猫同士、多少ツートンに
おれの考えを読み取ったかのように、ファーマはリビングへ目を向けながら言った。
階段の柵から身を乗り出し、やや大きめの声をリビングに向かって放つ。
ゴマ団子は、自分の向かいで焼きカツオをほおばっているみつきに目を留めた。
直後、ゴマ団子は悲鳴をあげた。
その場にうずくまり、視界にあるものから逃れるようにギュッと瞳を閉じる。
捨て置くか?
――いや、ヤツの身が心配だ。あの苦しみようは尋常じゃない!
気づけばおれは、憎き存在という壁を跳び越えて、ヤツのもとへ駆け出していた。
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