第83話 ファーマの不調
文字数 2,383文字
シャドーとの話が一段落ついた頃。
階段をトコトコ上がって、メデアとイソルダがおれのいるこのロフトまでやって来た。
ファーマは
とりわけ食感の良い食べ物を好み、歯ごたえを楽しめるドライフードをはじめ、毎日の食事を欠かさない。
おれは後ろを振り向き、窓辺に佇む猫に問いかける。
おれはシャドーに背を向けると、子どもたちと共にファーマの部屋へ向かった。
ファーマの部屋にはほとんど行ったことがない。
最初にこの住居のニオイをくまなく嗅ぎまわったときに訪れたきりだ。
ファーマは大きなベッドの上に、だら~んと横たわっている。
この部屋は元々、オーハラの子どもの部屋だったらしい。
その子どもが家を出てからは空き部屋になり、ファーマが占有することになったそうだ。
人専用部屋だったので備えつけの家具も大きい。
ファーマはそこで人間のように頭を枕にもたせかけ、掛布団を羽織っている。
メデアがツッコミを入れると、イソルダは舌を出したまま固まる。
親の目から見れば、そんな姿もかわいらしい。
最後におれはイザベラの隣に腰を下ろし、ゴロンと横になる。
ベッドの上は猫だらけだ。それぞれが身を寄せ合って大きな円になっている。
あくびをしながら舌足らずな返事をする子どもたちを見て、イザベラが微笑む。
それからしばらくして、オーハラとトラヒコが部屋にやって来た。
耳元でイザベラが
オーハラたちは、そんなおれたちの様子には気がついていないようだ。
おれたちの会話など露知らず、ファーマは心地よさげにイビキをかいていた。
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