第127話 運命を見極める
文字数 2,128文字
オーハラとトラヒコは、里親候補者の出した〝写真〟に目を見張っている。
声をあげて驚いていたので、よほどオカシなものでも写っているのかと気になったが……
ファーマは得意げな顔でシッポを揺らす。
訪問者のあるときはリビングには入らないと言っていたが、彼女はこの大部屋を横断してキッチンのそばにいる。
キッチン側にいるのは、おそらく小腹がすいたからだろう。
おれは座卓に歩み寄って前足をのせると、仁王立ちになった。
背中をピンと伸ばし、オーハラたちがのぞき込んでいる画面を見下ろす。
みんな一斉に座卓に集まってくる。
おれが卓の真ん中を陣取ると、メデアとイソルダも同じように天板の上に跳び乗った。
ファーマは中年女性から離れてオーハラとトラヒコの背後へまわり込み、二人のあいだから身を乗りだした。
言いながらアカリ婆とヒカリ爺は、オーハラとトラヒコの膝の上に乗ると、座卓に視線を落とした。
人々が驚きの声を洩らす中、おれはみんなと共に写真を注視し、これでもかというくらい集中力を発揮して凝視する。
が……
おれが写真から目を離すと、みんなも顔を上げ、メデアとイソルダに注目する。
イザベラの言葉におれはまばたきで同意を示し、子どもたちへ問いかけた。
メデアとイソルダは困っているようだ。
こんなことを唐突に聞かれても答えられないだろう、そう思った。
だが――
姉のメデアがほんのり笑みを浮かべて、弟より先に意見を口にする。
よい里親とも巡り会えた。
写真の三毛猫についてはなんとも言えないが、メデアとイソルダが悪くなさそうと感じたのだから、信じて見送ってもいいのかもしれない。
こうして、メデアとイソルダの譲渡が決定した。
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