第5話
文字数 774文字
翌週の火曜日。
突如、紫波かなえが登校した。
僕が授業開始ギリギリに教室に入ると、クラスの雰囲気が異様に感じた。皆の視線をたぐるとそこに、彼女が座っていたのだ。
僕の左側の席に。
彼女を一目見て、絶句する。
東京の僕のグループにも、周りのグループにも居なかった、超絶的な美貌。
長い漆黒の髪はまるで日本人形のようである。真っ白で小さな顔は流行りの3Dフィギュアを思わせる程の完成度だ。細く尖った顎、切れ長の大きな目。欧米人のような細く気高い鼻筋。座っているのでスタイルは分からないが、もう顔の雰囲気だけでアイドル顔負けのオーラを醸し出している。
授業開始の鐘が鳴り、僕は正気に戻る。
自分の席につかねばならないのだが、その為には彼女の前を通らねばならない。だが僕の足は前に進む事を許さずその場に立ち尽くすしか術がなかった。
広田が大声で、
「おい水沢、早ぐこっち座れや」
と怒鳴ってくれなかったら、いつまでも木偶の坊の如く立ち尽くしていただろう。
背中に大汗を流しながらようやく自分の席に座る。その瞬間、えも言われぬ芳しい香が僕の鼻腔をくすぐる。その瞬間に眩暈 に襲われ、思わず机に突っ伏してしまう。
何なのだ?
彼女は、紫波と言う彼女は一体何者なのだ?
こんな片田舎にどうしてこんな超絶美少女が存在しているか?
そして、どうしてそんな彼女が僕の隣の席に?
数Bの授業が始まるも、教師の声は馬耳東風。僕の五感は左隣に全集中していた。
授業も中頃。不意に左隣から声がかかる。
「ノート見せでぐれねぁー?」
思わず彼女を直視する。
軽く首を傾げ大きな瞳が僕だけを映している。
「あどで今までのどごろ写させでぐれねぁーがしら?」
その小さく美しい唇が奏でる盛岡弁。今まで生きて来た中で最も美しい方言、いや日本語。
僕は全身真っ赤になりながら、深く首を縦に振る。
突如、紫波かなえが登校した。
僕が授業開始ギリギリに教室に入ると、クラスの雰囲気が異様に感じた。皆の視線をたぐるとそこに、彼女が座っていたのだ。
僕の左側の席に。
彼女を一目見て、絶句する。
東京の僕のグループにも、周りのグループにも居なかった、超絶的な美貌。
長い漆黒の髪はまるで日本人形のようである。真っ白で小さな顔は流行りの3Dフィギュアを思わせる程の完成度だ。細く尖った顎、切れ長の大きな目。欧米人のような細く気高い鼻筋。座っているのでスタイルは分からないが、もう顔の雰囲気だけでアイドル顔負けのオーラを醸し出している。
授業開始の鐘が鳴り、僕は正気に戻る。
自分の席につかねばならないのだが、その為には彼女の前を通らねばならない。だが僕の足は前に進む事を許さずその場に立ち尽くすしか術がなかった。
広田が大声で、
「おい水沢、早ぐこっち座れや」
と怒鳴ってくれなかったら、いつまでも木偶の坊の如く立ち尽くしていただろう。
背中に大汗を流しながらようやく自分の席に座る。その瞬間、えも言われぬ芳しい香が僕の鼻腔をくすぐる。その瞬間に
何なのだ?
彼女は、紫波と言う彼女は一体何者なのだ?
こんな片田舎にどうしてこんな超絶美少女が存在しているか?
そして、どうしてそんな彼女が僕の隣の席に?
数Bの授業が始まるも、教師の声は馬耳東風。僕の五感は左隣に全集中していた。
授業も中頃。不意に左隣から声がかかる。
「ノート見せでぐれねぁー?」
思わず彼女を直視する。
軽く首を傾げ大きな瞳が僕だけを映している。
「あどで今までのどごろ写させでぐれねぁーがしら?」
その小さく美しい唇が奏でる盛岡弁。今まで生きて来た中で最も美しい方言、いや日本語。
僕は全身真っ赤になりながら、深く首を縦に振る。