第71話
文字数 435文字
そう言えばかなえは今頃どうしているだろうか。
ダメもとでスマホで紫波かなえと検索してみるが、何も無し。
古舘に聞いてみるかと思うも、妻から頼まれていた駅前のパン屋の用事を思い出し、その行列に並ぶ。
あれから十二年。あの辺りはすっかり復興が為されたと聞く。一度訪ねて見たいと思う反面、二度と行きたくないという思いも強く、あと数年は向かうことは無いであろう。
かなえは恐らく実家に戻っているのではないだろうか。本気で調べればきっと見つけ出せようが、かなえと再会する勇気が僕には無い。
あの時僕がかなえの言を信じていれば、あの悲劇は起きなかっただろうと未だに僕は思い込んでいる。彼女の純潔を僕が守ってさえいたなら、父母を亡くすことは無かったであろうと本気で信じ込んでいる。
パン屋の行列は中々進まない。
ポケットのスマホが、いや僕だけでなく周囲の人々のスマホが緊急警報を発する。
僕も、彼らもああまたか、という顔でスマホを取り出す。
ああ、またいつものJアラートってやt……
ダメもとでスマホで紫波かなえと検索してみるが、何も無し。
古舘に聞いてみるかと思うも、妻から頼まれていた駅前のパン屋の用事を思い出し、その行列に並ぶ。
あれから十二年。あの辺りはすっかり復興が為されたと聞く。一度訪ねて見たいと思う反面、二度と行きたくないという思いも強く、あと数年は向かうことは無いであろう。
かなえは恐らく実家に戻っているのではないだろうか。本気で調べればきっと見つけ出せようが、かなえと再会する勇気が僕には無い。
あの時僕がかなえの言を信じていれば、あの悲劇は起きなかっただろうと未だに僕は思い込んでいる。彼女の純潔を僕が守ってさえいたなら、父母を亡くすことは無かったであろうと本気で信じ込んでいる。
パン屋の行列は中々進まない。
ポケットのスマホが、いや僕だけでなく周囲の人々のスマホが緊急警報を発する。
僕も、彼らもああまたか、という顔でスマホを取り出す。
ああ、またいつものJアラートってやt……