第27話

文字数 647文字

 僕の童貞喪失未遂事件の反響は意外に大きく、どうすればその日にヤれたか、いかにすれば後日リベンジ戦に挑めたのか、振り返りが延々と続く。

 そんな中、かなえが深く頷きながら、
「んだがら翔ぐんはおらとへっぺして、童貞なげだがったのね。納得だわ」

 古舘が爆笑しながらかなえを抱きしめ、広田は涙を流しながら大笑いしつつ僕の背中を何度も叩く。

「可哀想な水沢。ねえ紫波さん、一回やらせであげなよ、これで死んだら死にぎれねぁーよね、ギャハハ」

「んだんだ、一発やらせでやれよ。この哀れな童貞野郎にさ」

 広田は僕が実は童貞だと知り、僕への親愛の情を深めた様子である。全く迷惑な話だ。

 そんな事よりさ、広田はまだだって知ってるんだけど、君らは既に経験者なの?

「はあ? なんでそっただこと女子に聞ぐがなあ。変態!」

 いやいやいや… そっちだってかなりグイグイ来てんじゃん。

「えーー、どっちだど思う?」

 急に妖艶な目付きで古舘が微笑する。

 僕から見て古舘はごく普通の女子だ。おかっぱ頭に太い眉。顔はまん丸でやけにデカい鼻。唇は厚く八重歯が特徴的だ。この子がもし経験者だったなら僕の自尊心は壊滅的に崩れ去り崩壊するだろう……

 不安と恐怖に苛まされていると、突如広田が漢を見せる。

「そったなのどっちでもいいがら、俺とやろうぜ、頼む、この通り!」

 古舘に土下座する広田の漢気に感動してしまう。

「いやよ。だってアンタ口臭くで下手ぐそそうだもん」

 分かりやすく一刀両断され、広田はそのまま泣き崩れる。その様を三人で腹を抱えて笑う。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み