第6話

文字数 455文字

 元々大人しい性格なのだろう、古舘が如何に話を振ろうと中々乗ってこない。広田があの手この手で話を振っても、困った顔で首を傾げるだけ。

 それでも僕ら四人で昼の弁当を屋上で食べたのだった。一緒にどうかと古舘が誘うと意外にも頷いて僕らの後をついて来たのだ。

 食べながら出身中学や両親の話を聞いても、一言で返すだけ。それ以上聞いてくれるなオーラとバリアを張り巡らし、それでも楽しそうに僕らと弁当の箸を突くのだから訳が分からない。

 直情的な古舘が、無理に自分らに合わせなくて良い、辛いなら離れればと問うも、微笑して首を振るばかり。

 空間察知能力にやや欠ける広田が明日からも毎日一緒に食事しようと提案すると、
「どうも」
 の一言。

 それでも古舘が執拗に出身中学を尋ねると、どうやら山間部の過疎地出身、同級生はゼロ、通学が困難なので高校の近くのアパートに一人暮らしをしている事を突き止める。

 そしてそのアパートはどうやら僕の借り上げ住宅の近所だという事らしい。

 その日、僕と彼女はこのような経緯の末、帰宅を共にしたのであった。
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