第20話

文字数 425文字

 この夏最初で最後の大チャンスを逃して以降、かなえはなるべく僕と二人きりになることを避け始めた。

 出かける時は大抵四人、海水浴も町営プールも、盛岡へのショッピングも更には夏祭りでさえ、かなえは僕と二人きりになることを忌避していた。

 それについて問うても、
「何度も言うのだけれど。エハッド・ナヴィである私は処女でなければならないの。そこはしっかりと理解してもらわないと」

 と言い張るものだから、僕も仕方なくそれに従うしかない。

 なんて悲惨かつ無慈悲な青春……

 東京の仲間に愚痴るも、そんな美少女と付き合えるのだから我慢しろ、ザマアミロ、当然の処置と思われる、などと無責任な返答ばかり。

 人の気も知らないで、と憤怒するも、冷静に考えれば彼らの言う通りなのかも知れない、こんな美少女と付き合えるだけでも良しとしなければ、などと開き直る。

 だが翌日にかなえを一目見て、蒼き欲望が迫り上がってきて……

 今思い返してみても、割と哀れな17歳の夏休みなのであった。
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