第32話

文字数 533文字

 パラボラアンテナ事件の話を広田に話すと、爆笑されると思いきや、
「おめ、ひょっとしてあっち側行ってしまったのが?」

 と心配されてしまった。冗談では無い、僕は膠二病でも厨二病でも無い、健全な高校二年生だと主張するも、思いっきり疑われてしまった。

 古舘からも、最近挙動がかなえに似てきたのではと指摘され、いい加減にしてくれと膨れっ面をする始末だ。

 この二人以外の学友からは意表をついた意見を突き付けられる、それは
「おめら同棲してらってホント?」

 一体どこからそんなデマが生じたのか今もって謎なのだが、当時の僕はかなり動揺してしまい、そんな筈ないだろう、いい加減なことを言わないで欲しい、と真剣に喰ってかかってしまったものだ。

 だが級友たちはそんな言葉を全く信じることもせず、夜な夜な僕とかなえが卑猥な行為に励んでいると言いふらしまくった。その結果、学校の男子達から猛烈なバッシングを受け、上履きを捨てられたり机に落書きされたりとお約束な嫌がらせを多々受けるようになっていた。

 その一方でかなえの方と言えば東京から来たチャラい男に手玉に取られている可哀想な女子と位置付けられ、男子からも女子からも同情されていたのだから青春のいい加減さにうんざりしている秋の僕なのであった。
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