第39話

文字数 878文字

 秋田県に位置する田沢湖。資料によると水深423メートル、世界で17番目に深い湖だそうだ。日本のバイカル湖と呼ばれているらしいが、バイカル湖とはなんぞや?

「世界で最も深い湖よ。ロシアにあるのよ」

 と言う事である。

「田沢湖の湖面標高は約250メートルだから、湖底は海面下なの。不思議な湖よね」

 と言う事らしい。

「全宇宙の神と使徒がこの収穫の儀を見守っているわ。お願いだからしっかりしてね」

 と言われてしまう。

 そうは言われても、短めのスカートから見える細い太腿が僕の煩悩を揺り動かし、時折僕の腕に触れる小さき双丘が僕の己を惹起させ、お願いされてもしっかりと出来そうにない。

 全宇宙の神々と使徒に呆れられても構わない、この旅行で僕の欲望を満たしてしまいたい。夏の終わりに構築された僕の理性は秋の到来により脆くも崩れ去り、田沢湖の湖底に沈んでしまった様だ。

 大きめのリュックを背負いつつ鄙びた民宿に辿り着く。受付の老婆に断じて心中しに来たのではないと説明すると、全く意味不明な方言でモニョモニョ言われ軽く頭を撫でられた。

 通された部屋に荷物を下ろし、かなえが淹れた渋茶を飲むと睡魔が襲ってきた。

 ハッと目を開くと、一瞬ここは何処だか分からなくなって不安になるも、隣から聞こえてくる美しい寝息にホッとする。

 そっとかなえに向き合うと、胸の隙間から白いブラが目に入る。ゴクリと唾を飲み込んで目を脚の方に動かすと、無防備な脚が20度の角度で展開している。

 秒速一センチメートルで身体を開脚されている地点へと移動させていく。数分後、その地点に到達し薄暗いながらも純白の神秘を目の当たりに出来た。

 あと少し開けば眼福なのだが、と思っていると。祈りが通じたのか、右足が突如膝立ちとなり大人向けの雑誌顔負けのアングルに思わず息を飲み込んでしまう。

 その直後。

 シューと言う風の音と共に僕の顔に空気が当たる。そしてなんとも言い難い硫黄臭が僕の鼻腔にへばりつく。

 天罰だ。これが天罰でなく何であろうか。

 僕はすっかり縮み切った己を撫でつつ、そっと立ち上がり静かに部屋の窓を開けた。
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