第43話

文字数 557文字

 部屋に戻り、敷かれた布団に入る。

 昔ながらの電灯を消し、真っ暗闇になるも暖かなかなえの存在を隣に感じる。

 いつもならばすぐに睡魔が襲ってくるのだが、かなえの過去を知り目が冴えている。何度か寝返りを打っていると、眠れないのかとかなえが尋ねてくる。

 もう少しキミの話が聞きたいと言うと、ふふっと笑いながら、
「キミでなぐで、かなえって呼んでいいよ」

「そんじゃあ、かなえちゃん。どうして俺が運命の男だって分かったの?」

 それは…… 何故だろ、自分でも分からないや。でもね、翔くんを一目みた瞬間、全身に電気が走った様になって震えが止まらなくなったんだ。この人は今まで見てきた男の人とは全然違う、まとわりつくオーラが違う、って。だから話しかけたの。初めてなんだよ、物心ついてから男の人に自分から話しかけたの。そうしたら翔くん優しく応対してくれて。確信したわ、やっぱりこの人だって。この人ならば私の全てを受け止め承認してくれるに違いないって。だからあまりの嬉しさに家に誘ったのよ。そして自分を曝け出した。そして翔くんはそれを受け止めてくれた。あの時の私の幸せな気持ち、翔くんには理解出来ないだろうなー あれから随分と自分勝手に翔くんを引き摺り回しちゃったよね、御免なさい。自分勝手なままに、貴方の気持ちを理解しようとせずに……
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