第65話

文字数 236文字

 そのまま眠ってしまっていたようだ。

 目を覚ますと目を閉じたかなえが小さな寝息を立てていた。

 石油ストーブが止まってしまったため、部屋の温度は急激に寒くなっており、畳の上に脱ぎ捨ててあったセーターを取り敢えず背中にかけてみる。

 僕の動きでかなえも目を覚まし、どうして止めてくれなかったのか恨めしげに呟くものだから、その唇を塞いでやった。

 愛しいかなえ

 僕はその瞬間、あまりの幸福にこのまま世界が終わっても良い、と真剣に思った。

 やがて、それがほぼ現実になるとも知らずに……
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