第64話

文字数 677文字

 終わって仕舞えば、呆気ないの一言に尽きた。

 無我夢中でかなえにむしゃぶりつき、イメージトレーニング通りにモノを押し当て腰を動かし、ほんの数秒で昂まりそして果てた。

 壁にかかっている古時計を見るとまだ二時半過ぎ、全過程を7〜8分で済ませたようだ。

 かなえは顔を両手で覆い、身体は少し震えているみたいだ。

 今この歳だと考えられない事だが、その時の僕は再度かなえに挑みかかったのだった。

 仕方なく僕を迎え入れるかなえの苦しげな表情も気にする事なく僕は腰を振り続け、それも長くは続かずに果てそうになった時。

 グラリと身体が揺れた気がした。

 障子戸がカタカタ動き、部屋の柱がギシギシ音を立てている。

「ねえ、地震でねぁー?」

 我に返った声でかなえが叫ぶが僕の腰は止まらない。

「ねえ、ちょっ、やめで、終わりにして!」

 壁にかかっている古時計が左右に大きく動いている。炬燵が畳の上で前後左右に動いている。これはかなり大きな地震だ、と思いつつも僕の腰は止まらない。

「結構大ぎいよ、ねえもう終わってくなんしぇ!」

 と言いつつ僕にしがみつくものだから、僕の興奮は更に大きくなり彼女の望みとは逆の方向に事は進んでしまう。

 石油ストーブが緊急停止したらしく、石油の生々しい匂いが部屋を満たしていく。障子戸は半分開かれ、外からは丸見え状態となる。

 やめて、やめてと叫ぶ彼女の声音がじきに何かに耐えるトーンに変わっていき、やがてAVで聴き慣れたセリフを大声で叫ぶと同時に、僕も力一杯全てを彼女に撃ち放った。

 それから余震に身を任せ、僕たちは息を荒くしながらしっかりと抱き合っていた。
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