第62話
文字数 460文字
そんなある日。
朝から冬型の気圧配置で寒さが厳しく、明日の予備校の模試は雪模様かとうんざりとしていた。
昼食を終え予備校へ向かうべくかなえのアパートに迎えに行く。
ドアを開けると、何故か喜びと困惑と躊躇いを混ぜた表情で僕を迎える。部屋に僕を入れ、顔を真っ赤にし俯きながら、
「いいよ」
と一言呟いた。
僕は一瞬目が点になるも、彼女の意をすぐに感じ取り、呆然とする。
本当にいいのか? 彼女に近づきながらそっと囁く。かなえは小さく頷き、その小さく美しい顔を上げ僕を見つめる。
ただ、ここじゃ嫌。特別な儀式なのだから神聖な場所で行いたい、と言うのでそれは何処だと問うと、父の知り合いの神社で行いたいと言った。
すぐに調べると、駅前からバスで40分程の山間部にある小さな無名の神社であった。
その神社の宮司が父の知り合いなのだが、病気で盛岡の病院に入院しており、かなえはたまに出掛けて掃除をしているそうだ。
僕はゴクリと唾を飲み込む。
今日、俺は漢になれる!
何度も僕は頷いて、彼女の手を取り駅前のバスロータリーへ駆け出した。
朝から冬型の気圧配置で寒さが厳しく、明日の予備校の模試は雪模様かとうんざりとしていた。
昼食を終え予備校へ向かうべくかなえのアパートに迎えに行く。
ドアを開けると、何故か喜びと困惑と躊躇いを混ぜた表情で僕を迎える。部屋に僕を入れ、顔を真っ赤にし俯きながら、
「いいよ」
と一言呟いた。
僕は一瞬目が点になるも、彼女の意をすぐに感じ取り、呆然とする。
本当にいいのか? 彼女に近づきながらそっと囁く。かなえは小さく頷き、その小さく美しい顔を上げ僕を見つめる。
ただ、ここじゃ嫌。特別な儀式なのだから神聖な場所で行いたい、と言うのでそれは何処だと問うと、父の知り合いの神社で行いたいと言った。
すぐに調べると、駅前からバスで40分程の山間部にある小さな無名の神社であった。
その神社の宮司が父の知り合いなのだが、病気で盛岡の病院に入院しており、かなえはたまに出掛けて掃除をしているそうだ。
僕はゴクリと唾を飲み込む。
今日、俺は漢になれる!
何度も僕は頷いて、彼女の手を取り駅前のバスロータリーへ駆け出した。