第30話

文字数 875文字

 食後の片付けを終えるとかなえは風呂場でシャワーを浴びて来る。戻ってきた時にバスタオルを巻いたままなのに閉口しつつ、意識をポラリスに集中しようと決意する。
 
 ところでポラリスって何?

「北極星とも言うわね。小熊座にあるアルファ星のことよ」

 ああ、成る程。では北極星に集中するか。そう決意した時、
「さあ、貴方も服を脱いで頂戴。儀式に入るのだから。」

 本当にこの子は17歳なのだろうか。羞恥心や女子高校生としての尊厳は無いのだろうか。そう思いつつTシャツを脱ぎ捨てズボンを降ろす。

 彼女もバスタオルを丁寧に畳みちゃぶ台の上に置く。そして隣の部屋から神器たるアンテナを持ってくる。僕にはどう見ても普通のパラボラアンテナなのだが、それを指摘してしまうと彼女の心的世界が崩壊してしまうだろうから敢えて何も言わない事にする。

 アンテナを窓からそれらしくセッティングし、畳の上で正座を強要される。真っ暗な部屋で全裸で正座。何ともシュールな状況に思わず鳥肌が立ってしまう。

 やがて彼女はブツブツと呪文を唱え始める。

 その姿はよく言えば幻想的、普通に言えば普通じゃない人、だ。そう言えば彼女の裸をじっくりと眺めるのは二度目だ。春の海で眺めた時は健康的な白磁のような肌に興奮を隠せなかったが、今は割と落ち着いた心理状態で堪能出来ている。

 半裸姿はちょいちょい見かけたものだが、こうして全裸を眺めると彼女の細い身体の線が実に神々しく思えてしまう。

 キャンプ前の僕だったら即座に官能的な発作を起こしてしまったであろう、だが今は背中から尻への細く白いしなるような曲線美を芸術作品のように眺め堪能出来るのだ。

 両手を上げ叫ぶような呪文を唱えている。

 双丘は俗に言うBカップくらいであろうか。豊乳好きの僕には全く物足りないのだが、その造形の美しさに思わず溜息が出てしまう。細く締まったウエスト。正座中なのでよく見えない茂み。確か海で見た時は申し訳程度の茂みだった覚えがある。

 正座なんて殆ど経験の無い僕の足が痺れで我慢できなくなる頃、彼女は唐突に立ち上がる、そして僕にもそれを催す。
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