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文字数 909文字

ぅわっぷ?!
落下の衝撃に備えていた
カノンを迎えたのは、
地面ではなく水面だった。
身体が沈んでいくところを、
カノンは慌てて水中から顔を出した。
ぷはー…っ、
いきなりとんだ歓迎ね……。
?!
だ、誰だ、カノンか?!
この声は……セシル?!
あー、よかった、
置いてかれたかと思った……
ほら、こっちから上がれるぜ
セシルの声を頼りに、カノンは
未だに目がなれない暗闇の中を
泳いでいき、地面へとあがった。
そっちこそ無事でよかった。
落ちてからあんたの声が
全く聞こえてこなかったから……。
マジかよ!?
オレ、落ちてすぐに
お前らのこと何度も呼んでたんだぜ?!
そうだったの……。
……ま、てっきり
見捨てられたもんかと思ったけど、
そーじゃないならよかったぜ。
てゆーか、この罠エグくねぇ?
オレもカノンも泳げたからいいけどよ、
これ、泳げないヤツはそのままあの世行き――
おわッ?!
……たぶん
イーリアスよね、今の。
……あいつ、泳げんの?
わかんない……から
助けにいくわよ!
りょーかい



----


ごほッ、がはッ……
はーい、
ゆっくり水吐いてー、
息吸ってー
ったく、言わんこっちゃねー。
言ったそばからコレだもんな。
……とりあえず、
おかげで助かった。礼を言う。
だが――――
お前たちは、
なんともないのか?
え?
ずぶ濡れな事以外は
あたしは別に……セシルは?
お、オレだって
何もねーよ!
なんなんだよ一体!
そうか…………。
な、なんだよ、
原因がわかってるなら
ちゃんと言えよ。
お前、めちゃくちゃ顔色悪いぜ

(もう相手の様子がわかるほど

 目が視えてるのね……)

…………。
……この空間は、
むせ返るほどの魔力で充満している。
普通なら、こんなに密度の高い魔力が
溜まることはあり得ないんだが……。
ふーん、魔力酔いみたいなやつ?
そういうもんか――
意図的に行っているんだろうがそうでなければ
こんな空間は作れないそれにしたってこれだけ
の基礎魔力をどうやって工面したんだ?いやだ
から上層の結界によって蓋をしているのか……
?だとしたら、何のために
おいおい、大丈夫かよ
ちょっと!
!!
……考察したいのはわかるけど、
あんたがこんなになるような所だし、
長居は無用でしょ。
まずは此処から出る方法を
考えましょう。
……あぁ、そうだな。
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登場人物紹介

<カノン>


合理主義だがお人好しという なんとも損な性格をした剣士。
世の中諦めなければ 大体のことはなんとかなると思っている。

<イーリアス>


自身にかかっている呪いを解除する方法を求めて 放浪する暗殺者。
同時に、冷静沈着な魔術師で、周りに冷たい印象を与える。

<ニルス>


気が小さいが確かな腕を持つ魔巧師。
片付けが苦手だが、物の所在は全て把握している。

<セシル>


手先が器用なお調子者のトレジャーハンター。
アーティファクトや魔巧具の真贋を見抜く観察眼を持つ。

<フィラマリカ=D=リーン>

精霊のスクオーラのボス。
たおやかだが、何かと暴走しがち。

<パシュア>


腹の読めない隻眼の青年。
フィリカの世話役。

<ディーン>


人当たりがよく誠実な好青年。でもなぜか地味で目立たない。
女性を見たら話しかけずにはいられない性質の自称紳士。

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