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文字数 620文字
<ロージアのとある路地裏>
<とんがり鼻の商人>
へへっ、いい買い物をしたぜ。
こいつをルダリアで捌けば、相当な額に……
<とんがり鼻の商人>
ひっ?!
な、なんだおまえ?!
<とんがり鼻の商人>
言われてみれば、着ている衣服も上等そうだし、
魔巧具のような装身具も見受けられる。
妙に派手な色合いの装いが、
魔術師の傲慢さを表しているようだった。
<とんがり鼻の商人>
これは失礼致しました、魔術師殿。
此方の品物は、魔巧師ギルドの職人が
作成した魔巧具でございます。
掲げられた魔巧具を、
魔術師は大して眺めた様子も無く、
懐から皮袋を放った。
地面へ落ちたそれは、
中からジャラジャラと、
小気味のいい音が路地に響いた。
<とんがり鼻の商人>
商人は慌てて皮袋の中身を確認する。
中には銀貨が詰まっており、
金貨も5枚見受けられた。
魔巧具が専門でない商人の目から見ても、
破格の相場だった。
<とんがり鼻の商人>
魔巧具を受け取った魔術師は、
一瞥もくれないまま、歩き去っていった。
余談であるが、商人はその夜、
袋小路で遺体となって発見されることとなる。
あったはずの、首と、
重みのある皮袋を無くして。