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文字数 1,170文字
固唾を飲んで、カノンは
手に持ったランタンを頼りに
闇の中へ目を凝らす。
程なくして、前方から現れた灯と
こちらの灯が交わり、
お互いの風貌が浮かび上がった。
護衛の青年とそれを諌める老人、
お決まりの流れであったが、
今回は しまった とばかりに
青年は顔を伏せた。
己の身を明かすために、
ヨールダンは被っていたフードをおろす。
彼の身に着けている蒼の祭服が、
聖教会の人間であることを証明していた。
カノンは一行にヨールダン達が
敵ではないことを伝えると、
(現場を見てもらうのが早いと考えたので)
再び塔に向かいながら、事の顛末を
当事者である彼女とイーリアスで、
ヨールダン達に説明していた。
最初は懐疑的だった二人であったが、
塔に辿り着くと、血塗られた空間を
目の当たりにし、肝を凍らせた。
広間に膝を突き、胸の前に組んだ
ヨールダンの手を、
ヘルフが慌てて掴んだ。
青年の反論も収まり、
静まった広間へ、
導師の祈りの言の葉が響いていた。