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文字数 967文字
<リーン邸 正門前>
朝もやの残る森の中、
佇む屋敷の門前で
カノンはゆっくりと息を吸って、
清涼な空気をその冷たさと共に
肺へいっぱいに満たす。
透き通る刺激によって
意識を覚醒させながら、
荷物を持ったまま空を仰いだ。
セシルの現金さに
半分呆れながら感心しつつ、
未だに眠っているであろう、
イーリアスの部屋へと視線を向ける。
半分呆れながら感心しつつ、
未だに眠っているであろう、
イーリアスの部屋へと視線を向ける。
意志を固め、
進むべき道へと顔を戻す。
互いに声を掛け合うと、
二人はロージアへ向けて歩き出した。
待ってくれ!!
呼びかけられ、足を止めて振り向く。
そこには、まだ静養中のイーリアスが、
息を切らしながら立っていた。
イーリアスに軽く蹴りを入れてから
発破をかけると、ふいと
顔を背けて歩き出していった。
発破をかけると、ふいと
顔を背けて歩き出していった。
セシルの背中を見守りながら、
イーリアスへと振り返る。