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文字数 481文字

うっ……ひっく………
どうして…?あたしも、   も、
家族を…まもりたかった、だけなのに……
ただしずかに、くらしていたかっただけなのに……
……あたしたち、
いつまで戦わなきゃいけないの……?
…………。
辛かったら、
お前は戦わなくてもいいんだぜ、
カノン。
…………。
少女は少年の提案に反抗するように、
涙を拭い、地に横たわっていた
血のついたままの剣を手にとって立ち上がった。
やれやれ、強情なヤツだなぁ。
一体誰に似たんだか……。
ま、安心してていいぜ。
お前はおれが守ってやるからな!
==================
……ッ!
……あれ?
(もしかして、また眠らされた?
 …いいや、そもそも昨夜に
 イーリアスに会った記憶がない……)
前日の出来事を思い起こすような目覚めに、
冷や汗をかきながら部屋を見渡すも、
イーリアスの姿はなかった。

(やれやれ、どこまで勝手なんだか…

 いや、別にいいんだけど……血を吸われるの嫌だし…

…………。
(それにしても、あの夢を見るなんてね……。
 今更、なんでまた……。)

首をかしげながら、
カノンは軽く身支度をすませると、
食事をとるために階段を降りて行った。
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登場人物紹介

<カノン>


合理主義だがお人好しという なんとも損な性格をした剣士。
世の中諦めなければ 大体のことはなんとかなると思っている。

<イーリアス>


自身にかかっている呪いを解除する方法を求めて 放浪する暗殺者。
同時に、冷静沈着な魔術師で、周りに冷たい印象を与える。

<ニルス>


気が小さいが確かな腕を持つ魔巧師。
片付けが苦手だが、物の所在は全て把握している。

<セシル>


手先が器用なお調子者のトレジャーハンター。
アーティファクトや魔巧具の真贋を見抜く観察眼を持つ。

<フィラマリカ=D=リーン>

精霊のスクオーラのボス。
たおやかだが、何かと暴走しがち。

<パシュア>


腹の読めない隻眼の青年。
フィリカの世話役。

<ディーン>


人当たりがよく誠実な好青年。でもなぜか地味で目立たない。
女性を見たら話しかけずにはいられない性質の自称紳士。

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