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文字数 611文字
水だけでなく、闇が行く手を阻む中、
カノンは呼び石の光源を頼りに、
一つの思考を巡らせながら
壁沿いに水底を目指して潜っていた。
水中を泳いでいたカノンの目に、
人が2、3人 通れそうな幅の横穴が映った。
横穴へと潜っていくと、
先へ先へと穴は続いていく。
人工的に整備された回廊とは
打って変わった、自然の岩肌に
身体を引っ掛けないよう、
注意を払いながら泳いでいった。
息が苦しくなってきた矢先に、
行き止まりに突き当たる。
その代わりに、上方へと空間が続いていた。
カノンがそう理解したのも、
上方から僅かに光が漏れていたからだ。
水面から顔を出し、
大きく呼吸を繰り返しながら
地に上がると、中央に据えられた
台座に乗った水晶玉が、
こじんまりとした空間を
ぼんやりと照らしていた。
カノンは光源代わりに使っていた呼び石を、
本来の役割を果たさせる為に、
口元に近づけた。