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文字数 1,345文字
<供犠の塔・地下1F>
雑然とした地下で、
ようやく機械仕掛けを見つけた3人は、
それを作動させる為、各々灯を頼りに、
一帯を探索していた。
めぼしいものを発見し、
イーリアスの元へ駆け寄った少年は
埃をおおまかに払い、彼に手渡した。
イーリアスがそれを受け取り、機械装置へ
その細長いハンドルをあてがうと、
ぴったりと収まった。
仕掛けを動かすべく、
イーリアスは収まったハンドルを掴むが、
そこで彼の動きが止まった。
イーリアスの態度に慣れてきたのか、
適当に返事をして、男はハンドルをぎこちなく回し始める。
すると、塔の仕掛けが動きだしたのか、
ゴトゴトと音をたて、内部へと響き始めた。
仕掛けの作動音が五月蝿いのだろう、
聞こえませんというように、
男はわざとらしく 片手を耳にかざしてみせていた。
お前たちが知っているかはわからないが、
ロージアは今でこそ特産物の奉納によって
儀式を完了させているようだが……
本来、魔術の媒体として、
最も適しているのは人間。
いわゆる人身御供だ。
この塔も、それを想定して建てられている。
言いかけた言葉が、
とある音によって かき消された。
実際はイーリアスの放つ声よりは
小さな音だったが、その音が、生じた事実が、
その場に居た一同の肝を凍らせた。
随分と楽しそうだね。
振り返ると、薄ら笑いを
灯でゆらめかせながら、魔術師は立っていた。