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文字数 904文字
ヘルフの提案に頷いて返したが、
暫しカノンたちを眺めてから、
ヨールダンは口を開いた。
もともとカノン達が
ロージアを目指していたのは、
イーリアスの右足を治療する為であった。
応急手当を施したとはいえ、
風穴は塞がらず、未だに血が流れ続けている。
考えあぐねている所に、
ヨールダンがイーリアスの右足へ
手をかざした。
ヨールダンの手から淡い光が放たれると、
傷が癒えているのか、イーリアスの汗が引き、
顔色が良くなっていく。
傷を確認すると、足に空いていた
風穴は見事に塞がっていた。
二人が面食らっている間に治療を終えると、
導師はセシルたちへ視線をみやった。
握られた手から
温もりが全身に伝わると、
空気に触れる度に走っていた痛みが
徐々に治まっていった。
手に溢れ落ちる雫を意に介さず、
ただただ導師は 笑みを浮かべていた。