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文字数 913文字
イーリアスの発した言葉の意味を
理解しかねる。そう言いたげな
視線を送るカノンを見据えたまま、
いつもの調子でイーリアスは話を続ける。
イーリアスの胸倉に掴みかかると、
同時に重い痛みが
カノンの首筋に脈打ち始める。
痛みに顔を歪めそうになりながら、
カノンはイーリアスを睨み上げた。
カノンは掴んでいた手を離し、
顔を俯けて暫く閉口していたが、
おずおずと口を開いた。
みぞおちに重い一撃を受け、
イーリアスは膝をついて倒れこんだ。
時間が惜しいとでも言うように
カノンは遺跡から飛び出すと、
言葉を紡ぎかけていた
イーリアスへは振り返らず、
降りしきる雨の中を走っていった。