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文字数 1,272文字
言葉を受け、辺りを見回す。
村の寂し気な景色ではなく、
格調高い空間が広がる。
傍らでカノンはベッド横に腰かけ、
手慣れた様子でリンゴの皮を剥いている最中だった。
やれやれと肩をすくめながら
イーリアスから視線を外し、
話を聞く最中で切り分けた
リンゴの一つをとり、
口の中に放り込んだ。
疑問符を浮かべたままの
イーリアスに、カノンは
ため息をついてから口を開いた。
イーリアスの口に
リンゴを突っ込むと、
言葉を告げながら
部屋を後にして、扉を閉めた。