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文字数 624文字
カノンの言葉に慌てて遺跡へと駆けつけると、
彼女の言ったとおり、ディーンの目にも
人影一つ、広間に広がる
空間以外は何も映らなかった。
ディーンの方へ顔を向けたまま
遺跡の出口へ向かって走ると、
カノンは何かにぶつかった。
ぶつかった方へ視線を彷徨わせ、
下方へ向けると、見知らぬ子供が
尻餅をついてカノンを見ていた。
問いかけられてから
顔を伏せたまま言葉を吐き捨てると、
少年は躓きかけながら、
その場を走り去ってしまった。
ディーンの制止の言葉も聞かず、
姿を見失うまいという一心で、
カノンは子供を追って走り出していった。